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カテゴリー別アーカイブ: 相続

金融機関の相続手続き

5月の連休明けに金融機関の預貯金・有価証券の相続手続の
依頼を受けました。
被相続人が亡くなったのが10月初め。
相続税の納税が8月初めまでだから急いでやって欲しいとのこと。
今まで何やってたんだと嫌な雰囲気を感じながら、話を聞いていると、
被相続人は遺言書を作成していたとのこと。
そして遺言執行者として信託銀行を指定していたとのこと。
ただ相続人間で揉めていたので、その信託銀行が執行者の地位を辞退したとのこと。

信託銀行って、辞退しちゃうんですね~。
すごいというか、ドライというか。ある意味、感心してしまいます。

さて、急いでやらないといけないということで、早速各金融機関の窓口へ相談に。
遺言執行者でもない、親族でもない人間が、「司法書士」という資格だけで動くのは
なかなか面倒なのですが、「相続手続代理人」という名目で、各金融機関の協力を
頂きながら何とか手続を完了させることができました。

銀行の手続はそんなに時間はかかりませんが、証券会社は、株式の移管手続やら、
相続人の口座開設やら、何かと手続があり、時間がかかるので注意が必要です。

相続税対策としての贈与~3年内加算ルール~

相続税をちょっとでも少なくしようと思い、生前贈与をするご家庭はたくさんあると思います。
贈与税の控除額が110万円あるので、それを利用して時間をかけて贈与していく方法ですね。
しかしながら相続税法では、生前贈与をしてから3年以内に、その贈与した方が亡くなってしまった場合には、その贈与はなかったことにされます。
つまりこの間に行われた生前贈与で渡した財産については、亡くなった時の財産に足し戻して相続税を計算しなければいけないのです。
3年経過しないと節税の効果は一切でてこないということになります。
生前贈与をするのであれば、お元気な時に早い内から始めるのが重要ですね。

実はこの3年内加算のルールは、誰に対しても適用されるわけではありません。
適用される人は「相続人」と限定されています。
なので、相続人ではない「孫」への贈与は、3年内加算のルールは発動しません。
あとはお婿さんやお嫁さん(子供の配偶者)も適用外です。
離婚しちゃったら、返ってきませんけど・・・

ちなみに孫でも3年内加算のルールに引っかかる場合があるので注意が必要です。
一つは遺言書で孫に財産を遺す場合。
もう一つは生命保険で孫に保険金が出る場合。

なお、生前贈与は、その人が認知症になってしまったらすることができなくなります。
相続税の対策よりも緊急度、重要度が高いのは、認知症対策だと思います。
当ホームページの民事信託欄に認知症対策としての家族信託をご案内しておりますので、気になる方は是非参照下さい。

自筆証書遺言の方式緩和

自筆証書遺言の方式緩和が2019年1月13日から始まりました。

緩和のポイントは、
「財産目録」については代筆やパソコンによる作成が可能になった
ということです。
登記事項証明書や預金通帳のコピーを添付する方法も可能です。

添付した財産目録の各ページに署名と押印が必要となります。
財産目録が両面にある場合には、その両面共に署名・押印が必要です。
契印は必要ないとのことです。

少し先の話ですが、2020年7月10日から
自筆証書遺言が法務局で保管される制度が始まります。
保管制度を利用した自筆証書遺言は裁判所の検認が不要
の扱いになるということです。

海外在住日本人の遺産分割協議書への押印手続き

尼崎市内の不動産の相続登記の事案です。
アメリカ在住の日本人の方から相続登記手続きのご依頼を受けました。

遺産分割協議書には署名と実印の押印をし、印鑑証明書を添付します。
ところがアメリカ在住で日本に住所がない場合、印鑑証明書の交付を受けることができません。

本件の場合、依頼人が日本に一時帰国することになったので、
公証役場にて署名証明を受けることによって、印鑑証明書に代える手続きをとりました。

 

 

韓国籍の方の法定相続情報取得について

運用開始から1年。
法定相続情報もかなり実務に浸透してきているように思います。

先日、現在は帰化されている、元韓国籍の方から法定相続情報の取得を
依頼されました。

法定相続情報は取得できるのでしょうか。

答えは、「取得できない」です。

法定相続情報を取得できる条件として、
出生から死亡時までの戸籍を集める必要がありますが、
その戸籍が全て日本の戸籍である必要があるためです。
そしてそれは帰化された方や、相続人に韓国籍が含まれる場合も利用不可なのです。

ただでさえ取得が困難な韓国の戸籍にこそ適用してほしい制度ですが・・・
法務局には荷が重いということなのでしょうか。

相続人のうちの一人からの法定相続登記申請

法定相続人が、A・B・Cの3人で、法定相続分通りに相続登記を申請するとき、
原則3人全員からの共同申請となります。

ところが法定相続登記の場合、3人のうちの1人からの申請で、(2人の関与なしに)
3人全員の登記申請ができてしまいます。

例えばAのみからの申請の場合、申請書の振り合いは以下のようになります。

相続人 (申請人)持分4分の2 A
持分4分の1 B
持分4分の1 C

ところで、このような登記申請をした場合、登記識別情報が発行されるのはAのみとなるので注意が必要です。
BとCは登記識別情報(権利証書)がない状態になってしまいます。

遺産分割調停調書に基づく相続登記

前回、遺言書に基づく相続登記は、
通常の相続登記に比べて、手続きは楽だと書きました。

遺産分割調停調書に基づく相続登記は、遺言書のそれと比べて
もっと楽です。
必要書類は、
・遺産分割調停調書
・調停により財産を受けることになった相続人の住民票

以上なんです。
戸籍は必要ありません。

もっとも、ここに至までの道のりが大変なんでしょうが・・・

遺言書に基づく相続登記

公正証書遺言による相続登記のご依頼を頂きました。

通常の相続登記手続きの場合、準備すべき事項は
以下のようになります。
1.被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍
2.相続人全員の戸籍
3.原則として相続人全員の関与が必要

一方、遺言書がある場合は、以下のとおりとなります。
1.遺言書
2.被相続人が死亡したことが分かる戸籍
3.財産を相続する相続人の戸籍
4.関与するのは遺言書で指定された相続人のみ。

準備すべき手続きとしては、遺言書がある方が、
関与する関係者も少なく、楽ですね。

相続人に知的障害者がいる場合の相続登記手続き

久しぶりの更新となってしまいました。

相続登記のご依頼を承りました。
聞き取り及び戸籍の調査から、相続人は母と子の二人であることが確認できました。
ただし子が知的障害で意思表示をすることができず、
遺産分割協議をすることができません。

この場合、子のために成年後見人を選任して、その成年後見人に
遺産分割協議に参加してもらうという方法が考えられます。
ただしこの場合でも、子の財産を保護するという観点から、
母が全てを取得する旨の遺産分割協議を成立させることは、
よっぽどの事情がない限り難しいでしょう。
また当初の目的である相続登記が完了しても、成年後見制度は続きます。
とても手間です。

法定による相続登記をするなら、母からの申請だけで母2分の1、子2分の1の割合
による相続登記を申請することができます。

本件の場合、すぐに売却する状況になく、成年後見制度を利用せずに、
相続登記を完了させるのが、手続き的にも費用的にもいいかと思います。

新しい財産管理の方法~家族信託~

今までの相続対策では認知症対策にはなっていません。
認知症対策として成年後見制度がありますが、様々なデメリットがあることを
ご紹介しました。

認知症の財産管理対策と相続対策の両方に効果を発揮する、新しい財産管理制度があります。
それが「家族信託」です。

「家族信託」とは、信頼できる家族に自分の財産を託して管理、処分してもらう方法です。
・自分が元気な時から家族に財産の管理や処分を託せることができる
→自分の目の黒いに後継者を育てることができる
・認知症で判断能力が衰えてきた後についても、家族に財産の管理処分を託すことができる
→成年後見制度に代わるもの
・自分が亡くなった後に、管理を託していた財産を誰に承継させるかまで決めておくことも可能
→遺言書に代わるもの

以上のような効果を期待することができます。