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カテゴリー別アーカイブ: 相続

認知症リスク~成年後見制度~

認知症は、誰もがかかる可能性がある身近な病気です。
現在、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症患者です。
これが2025年には5人に1人が認知症患者になると言われています。

認知症になると困ることとして、
① 銀行から預金をおろせない
② 不動産を売却できない
③ 遺産分割協議ができず、相続手続きが進まない
などがあげられます。
認知症患者の介護費用のため、認知症患者本人の預貯金を使えない
という事態が生じてしまいます。

本人が認知症になったあと、本人の財産管理をする方法は「成年後見制度」しかありません。
成年後見人が選任されると、以後本人の「身上監護」と「財産管理」を成年後見人が行います。

成年後見制度のデメリットとして、
・後見の申し立てを取り下げることはできない
・成年後見人は自分で選べない(家庭裁判所が選ぶ)
・本人が亡くなるまで成年後見は終了しない(途中で後見制度の利用を止めれない)
が挙げられます。
このような点を十分に検討したうえで申立てをする必要があります。

韓国籍の相続登記~外国人登録原票の取得~

最近取り扱った、韓国籍の方の相続登記のお話です。

まず韓国から戸籍謄本を取り寄せることから始めます。
取り寄せた戸籍はハングル文字なので、それを翻訳します。
それで相続人が確定できたら、あとは日本人の相続手続きと
同様に、遺産分割協議書などを作成して、登記申請します。

さて今回のケース。
取り寄せた戸籍だけでは相続人が確定できませんでした。

そこで参考資料となるのが、外国人登録原票です。
外国人登録原票の記載事項に、
「世帯を構成する者(続柄・氏名・生年月日・国籍)」があります。
この記載事項をもって戸籍で不足していた情報を補うことができる
ケースがあります。

ところがこの外国人登録原票。法務省入国管理局で一括管理
されているので、取得するのに請求してから1カ月近くかかります。
急いでいる場合には注意が必要ですね。

セミナーの講師をしてきました

3月7日の月曜日、シティプラザ大阪にて、
「相続」をテーマにしたセミナーの講師役を初めて務めました。

聴きに来られる方々がどのような年齢層なのか、
どれぐらいの知識を持っている方なのかが分からず、
また「相続」という大まかなテーマだったので、
どこに的を絞ってしゃべればいいか迷いましたが、
「誰が相続人か」など基本的なことを、具体例を交えながら
話してきました。
最後の方は口がからから状態になり、カミカミになりましたが、
何とかやりきってきました。

参加者のうちの一人の方から、また別のセミナーの講師を頼まれ
たので、まあまあ上手にできたのかな~

30年前に亡くなった方の兄弟相続

11月の終わりに相続登記の依頼を受けました。
被相続人は昭和56年に亡くなりました。子どもはいません。
そして数年後配偶者もなくなりました。
兄弟相続です。
夫の兄弟が何人いるか不明。妻側は12人。
養子がいるやらいないやらの未確認情報もあり。
うわぁ~大変そうやなぁ~と思いながら始めた相続人の調査。
そして2ヶ月後の今日。ようやく調査が完了しました。
今からじっくり精査しながら、家系図を作成しようと思います。
家系図を作るのも、一日仕事になりそう・・・

遠隔地の相続登記

尼崎市内在住の方から相続登記の依頼を受けました。

依頼主は尼崎市内に住んでおられますが、
亡くなられた依頼主のお父様は富山県の方で、
不動産も富山県内にあります。
「不動産が遠方ですけど大丈夫ですか?」と聞かれましたが、
大丈夫です。
北海道でも沖縄でも大丈夫です。

よっぽどのことがない限り、現地に赴くこともないので、
出張費や交通費もかかりません。

 

遺言書と異なる内容の遺産分割協議をした時に課税について。

遺言書と異なる内容の遺産分割協議をした時の課税について。

相続人A・B・Cの3人がいたとします。
遺言書によると、Aが6分の4、BとCが6分の1ずつの相続を
受けることになっていましたが、A・B・C3人の遺産分割協議により、
3分の1ずつ平等に分けることにしました。

この場合、AからB・Cへ贈与がなされたと扱われ、贈与税が課税
される余地がないかどうかが問題となります。

しかし通常の遺産分割において、法定相続分より少ない財産を取得した相続人が、
法定相続分より多い財産を取得した相続人に対して贈与したと扱われることは
ありません。
よって遺言と異なる遺産分割が成立した場合も、贈与税が課税されることは
ないと考えられます。

いったん遺言書の内容に基づいて相続税の申告を行った後に、
遺言と異なる遺産分割を行った場合、贈与税が課税される可能性があります。
税務上の問題が生じるのを避けるために、遺言と異なる遺産分割協議は
相続税の申告前に行うのが望ましいと言えます。

遺言書と異なる内容の遺産分割協議は有効か?

遺言書と異なる内容の遺産分割協議は有効でしょうか。

相続人が遺言の内容を知った上でした遺言の内容と異なる遺産分割協議は
有効であるとされています。
遺言によると財産を得る人が遺産分割協議によって損をすることになっても、
その相続人が了解しているからいいんじゃないの、という考え方です。

一方、相続人でない者に対して遺贈がなされた場合、
包括遺贈の場合には、その受遺者は相続人と同一の権利義務がありますので、
受遺者が参加していない遺産分割協議は無効となります。
また特定遺贈の場合には、受遺者は遺言者が死亡したと同時にその特定財産の
所有権を取得するので、相続人がその財産について遺産分割協議をしたとしても
特定受遺者にその効力を主張することはできません。

いずれにせよ、遺言と異なる内容の遺産分割をする場合には、
微妙な問題が出てくる可能性が大なので、慎重にすべきだと思います。

 

遺言できる事項は??

遺言には、遺言者の意思を書くのは自由ですが、
遺言書に書いてあることのすべてが相続人に対する
強制力を持つわけではありません。

法律的な効力が生じる事項を「法定遺言事項」と言いますが、
この中に、
「推定相続人の廃除」
「認知」
「保険金受取人の指定又は変更」(保険法44条)
などがあります。

しかしながら、遺言執行者が相続人の廃除の手続きを進めるのは難しいでしょうし、
認知が出てくると、様々な波紋を呼んで相続手続きが揉める可能性大でしょう。
このように遺言ではなく生前に行っておいた方がいい事項もあります。

保険金受取人の指定又は変更は生前にできることなんで、
これを遺言書でする必要性が今のところ私には分かりません。
どなたか教えて下さい(笑)

日本にいる外国人が遺言書を作成できるか

日本にいる外国人も問題なく有効な遺言書を作成することができます。
日本のように戸籍制度がない国がほとんどですので、
相続人の特定のため遺言書を作成しておく方がいいと思います。

方式は日本法に基づくものでも、外国人の本国法でも構いません。
ただ日本に財産がある場合、銀行や法務局が混乱しないように、
日本法方式での遺言を作成された方がいいと思います。

(1)日本法に基づく場合
  (ア)自筆証書遺言
     日本語でも、外国語でも作成できます。
     自筆証書遺言の場合、裁判所の検認手続で法定相続人に通知を送る
     関係上、相続人が外国にいる場合には手続きが煩雑になってしまいます。

  (イ)公正証書遺言
     自筆証書遺言では上記のような問題点があるので、公正証書遺言を
     作成することをお勧めします。
     公正証書遺言は日本語作らなければなりません。遺言する方が日本語
     の読み書きができないときは証人の他に通訳を立ち合わせて下さい。
     将来のトラブルの芽を摘むという意味では、外国人が日本語を理解
     できるとしても通訳を通しておいた方がいいかも知れません。

(2)本国法に基づく場合
  遺言者が母国語で遺言書を作成し、その国の大使館や領事館で公証を
  受けるという方法もあります。

海外に財産がある場合、日本法方式の遺言以外に、現地の弁護士と相談して、
その国の法律に基づく遺言を別に作成しておいた方がいいかも知れません。     
     
    

外国にいる日本人が遺言書を作成するとき~効果~

外国にいる日本人が遺言書を作成したとき、
遺言の成立及び効力が問題となって日本国内で争われる場合、
遺言当時の遺言者の本国法である日本の法律で判断されることに
なります。
遺言の成立とは、遺言能力・遺言者の意思表示の瑕疵など、
遺言の効力とは、遺言の効力の発生時期・条件・取り消しの可否などです。

遺言の内容を実現する時、その相続手続きには亡くなった方の本国法を
適用する国が多く、日本もそうです。
外国にいる日本人が遺言書を残して亡くなった時、相続手続きは日本の
法律が適用されることになります。
ただしアメリカでは、相続財産を動産と不動産に分け、不動産については
アメリカの法律を適用するなど、日本の法律が適用されない場合もあるので、
遺言作成時に現地の国際法や遺言法等も検討しなければなりません。