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カテゴリー別アーカイブ: 相続

不備のある自筆証書遺言の登記

相続登記のご依頼を頂きました。
自筆証書遺言を持参されていたので、その確認です。

署名あり。
日付あり。
押印あり。
全文手書きされている。
不動産の特定がしっかりできている!
裁判所の検認手続き済み。

何の問題もなさそうです。
しかし、遺言の中身をじっくり読んでいると一つ分からない点が出てきました。
遺言書には、不動産は妻と二男に相続させるとあるのですが、その割合の記載が
ないのです。
登記をする際には持分の記載が必須です。
割合の分からない遺言書に基づいて相続登記をすることはできるのでしょうか。

割合の記載がないということは、妻と二男に2分の1ずつ相続させる
と推測することが常識的でしょうか。
管轄法務局に照会したところ、2分の1ずつの持分で登記してもよいという
回答を得ました。

本件ではどうしても相続手続きに関与して欲しくない人物がおり、
その人物の了承が必要だとかなったらややこしいなと思っていたので、
自筆証書遺言のみで登記手続きを進めることができて一安心です。

相続人の配偶者が中国籍の方の相続登記手続き

中国籍の方が亡くなった場合の話ではなく、
日本人が亡くなり、中国籍の方が相続人になった場合の相続登記手続きのお話です。

今回は、日本人である夫が亡くなり、中国籍の妻が夫を相続したというケースです。
亡くなった夫の出生から死亡時までの戸籍を取得していきます。
夫の戸籍には中国籍の女性と婚姻したという旨の記載はされますが、
中国籍の妻は戸籍に入ることができません。
中国籍の妻に関して、どこまでの書類を揃えればいいのでしょうか。

中国籍の妻の住民票を取得します。
夫の戸籍には、配偶者の氏名・生年月日・国籍が記載されており、
妻の住民票にも上記と一致する情報が記載されています。
これだけでいいのかなと思いながら、住民票は住所の証明であり、婚姻関係の証明ではないと言われればそれまでなので、外国人登録原票を取得することにしました。

外国人登録原票には以下の情報が記載されます。
①氏名②性別③生年月日④国籍⑤職業⑥旅券番号⑦旅券発行年月日⑧登録の年月日⑨登録番号⑩上陸許可年月日⑪在留の資格⑫在留期間⑬出生地⑭国籍の属する国における住所又は居所⑮居住地⑯世帯主の氏名⑰世帯主との続柄⑱勤務所又は事務所の名称及び所在地⑲世帯主である場合の世帯を構成する者(世帯主との続柄,氏名,生年月日,国籍)⑳本邦にある父・母・配偶者(⑲に記載されている者を除く。氏名,生年月日,国籍)㉑署名㉒写真㉓変更登録の内容㉔訂正事項

以上から分かるように、外国人登録原票には配偶者に関する事項が記載されます。
これをもって婚姻関係を証明することができます。

実際の相続登記では、この外国人登録原票を添付して無事登記申請は完了しました。
中国領事館へ行って、婚姻に関する書類を取得する必要はありませんでした。

ちなみに外国人登録原票の請求先は以下のとおりとなります。
出入国在留管理庁総務課情報システム管理室出入国情報開示係
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-1 四谷タワー13F
電話:03-5363-3005
取得には1ケ月程度時間がかかるので、余裕をもって準備する必要があります。

法務局における遺言書の保管制度その5 ~考察~

法務局における遺言書の保管制度について、4回に分けてざっと案内させて頂きました。

さてこの遺言書保管制度をどのような方が利用すればいいのか考察してみます。

1.公正証書遺言との違い
公正証書遺言の最大のメリットは、関与させたくない相続人を廃除して手続きを進め
ていくことができることです。
遺言者の死亡後、通常の自筆証書遺言では、裁判所での検認という手続きがあります
し、法務局の保管制度では、法務局から相続人全員へ通知されるという点で、相続人
全員の関与が避けられません。

2.通常の自筆証書遺言との違い
通常の自筆証書遺言のメリットは、安い(無料)・簡単という点です。
財産目録は手書きでなくてもよくなったので、より簡単になりました。
しかし紛失や、遺言書の存在を知らせれば中身を確認されてしまう、改ざんされてし
まうというおそれがあります。
また遺言書は形式が厳格に定められているため、形式が整っていないと無効となるお
それもあります。

3.法務局における遺言書保管制度手続きの取捨選択についての考察
相続人が多い、相続人の内に行方不明者がいる、疎遠になっている、知られたくない
人がいるという場合は費用をかけてでも公正証書遺言を選択すべきです。かける費用
以上のメリットを享受できると思います。

自筆証書遺言について、相続人が妻と小さい子供だけで、遺言書の内容をオープンに
しても構わないという場合は通常の自筆証書遺言でいいと思います。
例えば、若くして病気になり、自分の死後は全て妻に託すというような場合です。

多少の費用をかけて、遺言書の形式をしっかり確認しておきたい、遺言書の内容を秘
密にしておきたい、紛失のリスクを押さえたいという場合は法務局の保管制度を選択
することになります。
相続人への通知は、通常の自筆証書遺言は裁判所経由で、保管制度を利用している場
合は法務局経由の手続きとなり、手続き的には法務局の方が敷居が低くてやりやすい
かなと思います。

 

法務局における遺言書の保管制度その4 ~遺言者死亡後の手続き~

不動産の相続登記や銀行等での名義変更の手続きは、
遺言書情報証明書」を確認することにより行うことができます。

遺言書情報証明書の取得方法は以下のとおりです。

1.どこに行けば取得できる?
法務局です。
遺言書を保管している法務局以外の法務局でも取得できます。

2.誰が取得できる?
①遺言者の相続人
②受遺者
③遺言執行者
などなど

3.どんな書類が必要?
①交付請求書
②法定相続情報もしくは遺言者の出生から死亡までの戸籍
③相続人の住民票(作成後3カ月以内のもの)
④請求人の本人確認書類として、住民票や運転免許証など

4.遺言書情報証明書が発行されると、全ての相続人・受遺者・遺言執行者に
遺言書を保管している旨が通知されます。
ただし、通常の自筆証書遺言で必要な、裁判所での検認手続きは不要です。

死亡した遺言者の出生から死亡時までの戸籍、全ての相続人の住所が分かる資料を
集めないといけないので、意外に大変です。

法務局における遺言書の保管制度その3 ~遺言書の内容を変えたくなった~

無事に遺言書の保管が法務局で受付されました。
その後遺言書の内容を変えたくなったり、やめたりすることはできるのでしょうか。

1.遺言書の内容を再確認したくなったら?
遺言書の閲覧をすることができます。
この閲覧請求は、遺言者のみすることができます。
遺言者以外の者は、遺言者の生存中は、閲覧を含め、遺言書保管所から
いかなる情報も取得することはできません。

2.遺言書の内容の変更したくなったら?
一度保管をした遺言書に、遺言内容の変更を加えることはできません。
内容を変更するときには、
・保管の申請の撤回をしてから、新たな内容の遺言書の保管の申請をする。
・撤回をせず、新たな内容の遺言書の保管の申請をする。
のどちらかを選択することになります。

3.遺言者の住所が変更になったらどうする?
以下の内容に変更が生じたら、その旨を法務局に届け出なければなりません。
・遺言者の氏名、出生年月日、住所、本籍
・受遺者若しくは遺言執行者の氏名、住所

4.遺言書を取りやめたくなったら?
遺言者は、遺言の保管の申請を撤回することができます。
撤回は、保管申請の場合と同様に、本人確認が必要となるため、
遺言者本人が法務局に赴かなければなりません。

法務局における遺言書の保管制度その2 ~申請手続き~

法務局における遺言書の保管申請の手順は以下のとおりです。

1.管轄法務局に保管申請の予約を入れます。
・予約は,手続を行うご本人が行います。
・予約を行うことができる期間は,30日先までです。
・当日の予約はできません。
・予約日の前々業務日の午前中まで予約をすることができます。
例)月曜日の予約は,その前の週の木曜日の正午まで予約可能。

2.予約当日、以下の書類を持参し手続きを行います。
・申請書(申請書は法務省のホームページにあります。
パソコンで入力しても、手書きでも大丈夫です)
・自筆証書遺言書
・財産目録
・顔写真付き本人確認書類
・住民票(本籍地入り)もしくは戸籍謄本と戸籍の附票のセット

3.申請が受け付けられると、保管証が交付されます。
保管証には以下の内容が記載されます。
①遺言者の氏名及び生年月日
②遺言書が保管されている保管所の名称及び保管番号
保管証を利用すれば、遺言の内容の秘密を保ったまま、遺言書を法務局に保管してい
ることを相続人などに知らせることができます。
なお保管証の再発行はなされません。

法務局における遺言書の保管制度その1 ~概要~

自筆証書遺言は、自書することができさえすれば、
いつでもどこでも作成することができ、費用もかからないので、
手軽かつ自由に利用することができます。

一方で、紛失してしまう、改ざんされる、遺言者が遺言書の存在に気付かないなど
リスクがあります。

そこで上記のリスクを解消するための方策として、
自筆遺言書の保管制度が創設されました。

1.管轄の法務局はどこ?
遺言者の住所地・本籍地・不動産の所在地を管轄する法務局です。
ただし、出張所では取り扱いされておりません。
そのため兵庫県内では、須磨・北・東神戸・三田・八鹿の出張所では
取り扱いがありません。

2.申請者はだれ?
遺言者本人のみです。
遺言者本人が法務局に赴かなければなりません。もちろん介添えはOKです。
身内や司法書士の代理申請は認められません。

3.必要書類は?
申請する時、遺言書保管官による遺言者の本人確認がなされます。
本人確認は顔写真付きの書類に限定されているので、
顔写真付きの身分証明書を準備することが必須となります。
・個人番号カード
・免許証
・運転経歴証明書
・パスポートなど
他には、①本籍の記載のある住民票 ②戸籍謄本及び戸籍の附票(3カ月以内のも
の)があります。

自筆証書遺言の改正~平成31年1月13日~

改正前の自筆証書遺言は、遺言者がその全文を自書しなければなりません。
遺言書の内容の他に、不動産や金融機関の記載などしなければならず、
遺言者にとって「全文自書」はとても大きな負担でした。

実際、それが面倒で遺言書の作成を見送ったお客様を何人も見てきました。

今回の改正により、相続財産の目録を添付する場合には、その目録については
自書する必要はないとされました。
財産目録の用紙毎に遺言者が署名・押印するだけでOKです。
遺言書の内容については、今まで通り全文自書する必要があります。

財産目録は、
・パソコンで作成したもの・遺言者以外の者が代筆したもの
・不動産の登記事項証明書・預貯金通帳の写しなどが認められます。

この取り扱いは、平成31年1月13日以後に作成された自筆遺言証書について
適用されます。
それ以前に作成されたものは、全文が自書されていないと、無効です。

戸籍謄本の広域交付

戸籍謄本・除籍謄本が磁気ディスクをもって調整されている時、
本籍地以外の役場でも、戸籍謄本・除籍謄本を取得することができるようになります。

請求できる人は、「本人」、「配偶者」、「直系尊属」、「直系卑属」です。

戸籍謄本の広域交付は令和5年度からの運用が予定されております。

なお弁護士・司法書士などの職務上請求については適用外とされているので、
専門職はこれまで通り本籍地の役場へ請求することになります。

一時払い終身保険を考える~遺留分対策~

父・母・長男・次男の4人家族。
父はすでに他界しております。
母の総資産は8000万円で、その全額を長男に遺そうと思っています。
そうすると次男の長男に対する遺留分が2000万円となります。

そこで母が「一時払い終身保険」に加入します。
これは母が90歳まで加入できる保険です
(加入できる年齢は保険会社によります)
2000万円分を一時払いしたとしましょう。
契約者は母、受取人は長男です。

母が亡くなった時、長男が死亡保険金として2000万円を受け取ります。

保険に加入しなければ、弟の遺留分請求権は2000万円でした。
ところで、2000万円分の保険に加入することで、母の相続財産は6000万円になっています。
(長男が受け取った2000万円は長男固有の財産とみなされます。)
なので、弟の遺留分請求権は1500万円となります。
保険に加入することで、遺留分の現金を準備することができると同時に、
遺留分の額も減らすことができるということになります。

保険は相続税の控除にも使えますし、是非検討すべき相続対策ですね。