ブログ

カテゴリー別アーカイブ: 相続

相続放棄の期限が間近です。マジか!?

問題。
疎遠にしていた父親が亡くなったのが令和5年8月17日。
父親が亡くなったのを知った日が令和5年12月23日。
今日は令和6年3月19日。
さて、子供は父の相続放棄をできるでしょうか。

相続放棄を家庭裁判所に申し立てる期限は民法915条に定めがあります。

民法915条
「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、
相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」

相続放棄の手続きをご依頼される方で、3ヶ月以内という数字を覚えてらしゃる方は
多いのですが、いつから3ヶ月かを把握されていない方が多いように感じます。
かなりの確率で、「亡くなった日から3ヶ月」と思われているようです。

正しくは、条文にもあるとおり「相続があったことを知ってから3ヶ月」です。

通常は相続があったことを知るのは、亡くなった日でしょう。

しかし、子供の時に出て行って疎遠だった父親の相続放棄手続きや
付き合いも全くないような遠い親戚の相続放棄手続きの場合、
亡くなった日から3ヶ月以内だと無理ゲーとなってしまいます。

ではどうやって亡くなったことを知るのでしょう。
ケースとしてあるのは、相続手続きに関与している弁護士や司法書士からの手紙です。
また市役所の固定資産税課からの手紙で把握することも多いです。
つまりそのような手紙を受け取って、亡くなったことを知った日から3カ月以内に
相続放棄手続きをすればいいことになります。

状況が不明で3カ月じゃ足りないよという場合には、
申立期間を延ばすことができる手続きもあります。

さて本件の場合、令和6年3月23日までに相続放棄を家庭裁判所に
申し立てれば大丈夫ということになります。
けっこうギリギリですな。

証券会社の相続手続き~野村証券の場合~

金融機関の相続手続きの依頼を受けることがあります。
金融機関によって多少の違いはありますが、大筋の手続きは
以下のようになります。

1.戸籍を収集して→相続人を確定する。
2.相続人全員から委任状をもらう。
(印鑑は実印。印鑑証明書付)
3.2と同時に法務局にて法定相続情報を作成する。
4.相続手続代理人として私一人で金融機関と手続きを進めていきます。

証券会社の場合は選択する手続きにより以下のようになります。
1.株式を名義変更して承継したい場合
承継する相続人が証券会社に口座を開く必要があります。
新しく開いた口座に被相続人の株式を移行して手続きは完了です。
相続人のタイミングで株式を売却することができるようになります。

2.株式を売却→現金化して現金を相続したい場合
野村証券の場合、相続手続代理人名義で売却専用の口座を開設することができます。
相続人名義で口座を開設する煩わしさがないメリットがありますが、
売却する時期を選ぶことができないというデメリットがあります。

他の証券会社の相続手続きはやったことがないので分かりませんが、
おそらく同様の手続きを選択することができるかと思います。

親も忘れている不動産の相続

親の持っている不動産がどこにどれだけあるか、
把握できてますでしょうか。

最初の確認方法は、市役所から届く固定資産納税通知書です。
これである程度は把握できますが、役所によっては、
道路部分など非課税物件は出てこないかもしれません。

次の確認方法は、権利証をチェックすることです。
納税通知書に記載されていない不動産が出てくることがあります。

最後は、市役所で取得することができる名寄帳です。
名寄帳を確認すれば、その市内で親が持っている不動産は全て確認できます。

ただそれにしても「市」単位なので、
確かおやじが鳥取県の方でリゾート開発地を騙されて買わされたって
言ってたなぁレベルではなかなか見つけることは難しいかも知れません。

その自筆証書遺言、登記申請に使えます?

遺言書があると、相続登記手続きは楽になります。

遺言書がない場合、相続登記に必要な書類は、
故人の出生から死亡時までの戸籍と相続人全員の現在戸籍を集める必要があり、
これがなかなか面倒です。

それに対して遺言書がある場合に必要な書類は、
故人の死亡の旨の記載がある戸籍と、遺言書で指定を受けた財産を譲り受ける
相続人の戸籍です。
楽ちんですね。

さて遺言書が自筆の場合、そのままの状態で登記申請に使うことはできません。
家庭裁判所で検認手続きが必要となります。
あらかじめ定められた日時に相続人が集まり、裁判所主導のもと、相続人の面前で
遺言書が開封されます。
そして遺言書に裁判所の検認が済んだ旨の証明文が追加されます。
この証明文がついて初めて登記申請ができるようになります。

なお、裁判所での開封時、相続人全員が揃ってなくても構いませんし、
遺言書の内容が有効かどうかなどの判断はなされません。
あくまで外見上の形式的な手続きです。

3.3平方メートルの道路部分の相続登記

T右衛門名義の3.3平方メートルの道路部分の相続登記が放置されておりました。

流れはこうです。
1.T右衛門は長男で、遺産を家督相続した。
2.T右衛門の弟、K左衛門が兄T右衛門から土地をもらい名義変更をした
3.その際、道路部分も一緒に名義変更するのを忘れた、もしくは気づいてなかった
4.時は流れ、K左衛門が亡くなり土地の相続登記をした。
5.相続財産の調査で、道路部分がT右衛門のまま残っていることが判明した

さてK左衛門の子孫が相続した不動産を売却しようとしても、
主要道路に出るための土地が他人名義で残っていると売却はできません。
正確に言うと、手続き上売却はできるが、そんな土地を欲しがる人がいない。
たとえそれが3.3平方メートルの小さな土地であってもです。

T右衛門の子孫にあたる方に連絡を取る必要があります。
子ども・孫・ひ孫どこまでもです。
3.3平方メートルでも100平方メートルでもやることは全く同じです。
評価額が0円でも1億円でもやることは全く同じです。
労力がまったく見合わない。
この度、1年かけて無事越年せず終わらせることができました。
依頼主の笑顔で癒されることにしましょう。

評価額が10万円以下なら、相続登記が簡単に済ますことができるような
法改正してくれないかな~

請求してみなきゃ分からんぞ~住民票の除票・戸籍の附票~

相続登記手続において、住民票の除票や戸籍の附票を取り寄せます。

以前は、住民票の除票、戸籍の附票の除票の保存期間は5年間とされていました。
5年を超えた住民票の除票、戸籍の附票の除票は廃棄されていました。

ところで先日えっ?なことがありました。
平成25年に除籍となった戸籍の附票は5年経過により廃棄されました。
ところが平成21年に原戸籍となった戸籍の附票は廃棄されておらず、
取得することができました。(同じ戸籍の話です)

あと役所によって取れたり取れなかったりすることもあるように思います。
尼崎市はきっちり廃棄してくれておりますが・・・

なので、5年経過しているからもう廃棄されているかなとあきらめずに、
全て出してくれとまずは請求してみて下さい。
あきらめたらそこで終わりですよ~

ちなみに法改正により、現在の保存期間は5年から150年に延長しております。
(令和元年6月20日)
ただ廃棄されてしまったものは復活しません。

デジタル遺産の相続

デジタル遺産の相続を考えないといけない時代がきました。

これまでの相続財産と言えば、
預貯金・不動産が代表的なものでした。
が、これからの時代、デジタル遺産も相続の対象として
考慮に入れておかないといけません。

デジタル遺産とは、
オフラインのデータ:パソコン・スマートフォン・デジカメ等などの
あらゆるデジタル機器内のデジタルデータ
オンラインのデータ:暗号資産、NFT、SNSアカウント、動画サイトアカウント、
WEBサイトアカウント及びそれらアカウントに蓄積されたデータ

暗号資産とは? 例えばビットコインですね。相続財産として考えやすいです。
NFTとは? 非代替性トークンの略で、デジタルアート・ゲームアイテム・トレーディングカードなどです。〇十万円課金して手にしたゲームアイテム、〇百万円で売買されているトレーディングカードなどは価値がありますよね。
SNS等のアカウントとは?企業案件や広告収入、投げ銭機能などです。

これらのデジタル遺産を承継するのか、消去・処分するのか、
遺言できっちり定めておいた方がいいかもです。

またSNSアカウントは相続の対象になり得るのか、一身専属的なものなのか。
例えば著名なユーチューバーが亡くなった時、そのアカウントはどうなるのか?

デジタル遺産の相続は始まったばかりで、これから色々な事例が出てくると思います。

自分の相続分の預貯金の払い戻しを銀行に請求できるか?~預金の仮払い制度~

遺産分割協議が成立する前に、自分の法定相続分の預貯金の払い戻しを、
銀行に請求できるのでしょうか?

従来の取扱いは、預貯金は当然に分割され、遺産分割に含まれないので、
請求できるとされてました。
実務的には、銀行に払戻を請求しても、「相続人全員分の実印と印鑑証明書」が
求められますが、訴訟を起こされれば、銀行は、一人の相続分の預金の払い戻しに応じてきました。

平成28年12月19日の最高裁判決により、民法909条の2が新設され、
令和元年7月1日より扱いが変わりました。(預金の仮払い制度の新設)
内容は以下のとおりです。
① 預貯金は遺産分割の対象となる
② 銀行から引き出せなくなった
③ 葬式費用など死後の債務が支払えない
④ 預金の仮払い制度の扱いにより、一定額を引き出せるようになった

一定額というのは、
相続財産の3分の1に対する自分の法定相続分です。
相続財産が1200万円で、相続人が子供二人だけなら、
1200×1/3×1/2=200万円です。
ただし、一つの金融機関毎に上限が150万円と定められています。

当事務所では、銀行口座の相続手続きのお手伝いもいたします。
面倒だ・時間がないという方、是非ご相談下さい。

相続? 生前贈与?

親から子に財産が渡るのは、通常「相続」ですよね。
現在、男性の平均寿命が81.47才、女性が87.57才と言われてます。
すると相続を受ける子供は60才台、場合によっては70才台になっているケースも出てきます。
この年齢で財産をもらった時、
子どもはお金がそんなに必要じゃないかも知れません。
その代わり、教育費用や住宅ローンなど何かと物入りで、まだまだ収入の伸びていない30~40才台は、お金をもらえるととても助かる場合が多いと思います。
「相続」で財産が渡るには高齢すぎるのが現状だと思います。

あるご高齢の方の遺言書の作成のお手伝いをした時です。
「もっと若い時にお金を使っておけばよかった」と。
「今、こんなに持ってても仕方がない」と。


お金を有効に使うにはタイミングがあると思います。


そこで生前贈与について真剣に考えてみる必要があると思います。

生前贈与のメリットその1 自分でコントロールできる

いつ死ぬかは分かりません。つまり相続の時期はコントロールできません。
しかし贈与なら、好きな時期を選ぶことができます。

生前贈与のメリットその2 直接感謝される

死んだ後に「ありがとう」と言ってもらっても、こちらの心には響きません。
ゴッホの絵は今でこそ評価されていますが、当の本人は知らないのと同じです。
やっぱり直接「ありがとう!」って言ってもらえるの、嬉しくないですか?

生前贈与のデメリットその1 もしもの時に備えられる?

贈与したのはいいが、病気や介護で多額の費用が必要になったらどうしよう?という心配はごもっともです。
人それぞれで何とも言えないですが、もし80才で不治の病が見つかっても寿命と考えて余計な治療はしないかも知れません。
日本の介護環境は年々良くなってきてます。そしてその人の予算にあった介護を選択することもできます。
「もしもの時に備える」という意識は、そんなに高くなくてもいいかも知れません。

生前贈与のデメリットその2 贈与税

生前贈与で考えるべきは税金です。
贈与税、高いですよね。
しかし、直系血族の教育資金の贈与なら、贈与税の課税対象とはならないなど、贈与税を回避する方法もあります。
住宅なら、親が建てて、子供に使用貸借させて、遺言で相続させるなど。

色々な方法や対策があります。
私が参加している相続手続支援協会で、相続・贈与に詳しい税理士とタイアップしております。
ちょっと話を聞いて欲しいなという方はぜひご相談だけでもいかがでしょうか。

相続放棄申述受理通知書?証明書?

家庭裁判所で相続放棄の手続きの中で、
・「相続放棄申述受理通知書
・「相続放棄申述受理証明書
以上二つの書類があります。

「相続放棄申述受理通知書」は
相続放棄の手続きが完了すると裁判所から申述人になされる通知書で、
申述人全員が持っている書類です。

一方、「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄の手続きが完了した後、
裁判所に発行依頼をかけて出してもらうもので、依頼した申述人しか
持っていません。

不動産の相続登記をする際、相続人の中に相続放棄をした人がいると、
この「通知書」と「証明書」のどちらを添付すればいいのでしょうか。

以前は、「証明書」を添付しなければなりませんでした。
しかし平成27年に「通知書」を添付することができるとの取り扱いになりました。
ただし、「通知書」の内容が「証明書」と同等でないといけません。

大阪家庭裁判所の通知書の内容は、
「事件番号・申述人・被相続人の氏名」です。
一方、証明書の内容は、
「事件番号・申述人・被相続人の氏名と本籍地」です。
改めて見てみると、いずれも死亡年月日の記載はないのですね。
ちなみに大阪法務局池田出張所では、通知書の添付で申請が通りました。

通知書と証明書の内容が同等かどうか検討しないといけないですが、
証明書を取得するのは相続人にとって負担でしかないので、
通知書が一般的に登記申請で認められるようになるといいですね。