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カテゴリー別アーカイブ: 相続

請求してみなきゃ分からんぞ~住民票の除票・戸籍の附票~

相続登記手続において、住民票の除票や戸籍の附票を取り寄せます。

以前は、住民票の除票、戸籍の附票の除票の保存期間は5年間とされていました。
5年を超えた住民票の除票、戸籍の附票の除票は廃棄されていました。

ところで先日えっ?なことがありました。
平成25年に除籍となった戸籍の附票は5年経過により廃棄されました。
ところが平成21年に原戸籍となった戸籍の附票は廃棄されておらず、
取得することができました。(同じ戸籍の話です)

あと役所によって取れたり取れなかったりすることもあるように思います。
尼崎市はきっちり廃棄してくれておりますが・・・

なので、5年経過しているからもう廃棄されているかなとあきらめずに、
全て出してくれとまずは請求してみて下さい。
あきらめたらそこで終わりですよ~

ちなみに法改正により、現在の保存期間は5年から150年に延長しております。
(令和元年6月20日)
ただ廃棄されてしまったものは復活しません。

デジタル遺産の相続

デジタル遺産の相続を考えないといけない時代がきました。

これまでの相続財産と言えば、
預貯金・不動産が代表的なものでした。
が、これからの時代、デジタル遺産も相続の対象として
考慮に入れておかないといけません。

デジタル遺産とは、
オフラインのデータ:パソコン・スマートフォン・デジカメ等などの
あらゆるデジタル機器内のデジタルデータ
オンラインのデータ:暗号資産、NFT、SNSアカウント、動画サイトアカウント、
WEBサイトアカウント及びそれらアカウントに蓄積されたデータ

暗号資産とは? 例えばビットコインですね。相続財産として考えやすいです。
NFTとは? 非代替性トークンの略で、デジタルアート・ゲームアイテム・トレーディングカードなどです。〇十万円課金して手にしたゲームアイテム、〇百万円で売買されているトレーディングカードなどは価値がありますよね。
SNS等のアカウントとは?企業案件や広告収入、投げ銭機能などです。

これらのデジタル遺産を承継するのか、消去・処分するのか、
遺言できっちり定めておいた方がいいかもです。

またSNSアカウントは相続の対象になり得るのか、一身専属的なものなのか。
例えば著名なユーチューバーが亡くなった時、そのアカウントはどうなるのか?

デジタル遺産の相続は始まったばかりで、これから色々な事例が出てくると思います。

自分の相続分の預貯金の払い戻しを銀行に請求できるか?~預金の仮払い制度~

遺産分割協議が成立する前に、自分の法定相続分の預貯金の払い戻しを、
銀行に請求できるのでしょうか?

従来の取扱いは、預貯金は当然に分割され、遺産分割に含まれないので、
請求できるとされてました。
実務的には、銀行に払戻を請求しても、「相続人全員分の実印と印鑑証明書」が
求められますが、訴訟を起こされれば、銀行は、一人の相続分の預金の払い戻しに応じてきました。

平成28年12月19日の最高裁判決により、民法909条の2が新設され、
令和元年7月1日より扱いが変わりました。(預金の仮払い制度の新設)
内容は以下のとおりです。
① 預貯金は遺産分割の対象となる
② 銀行から引き出せなくなった
③ 葬式費用など死後の債務が支払えない
④ 預金の仮払い制度の扱いにより、一定額を引き出せるようになった

一定額というのは、
相続財産の3分の1に対する自分の法定相続分です。
相続財産が1200万円で、相続人が子供二人だけなら、
1200×1/3×1/2=200万円です。
ただし、一つの金融機関毎に上限が150万円と定められています。

当事務所では、銀行口座の相続手続きのお手伝いもいたします。
面倒だ・時間がないという方、是非ご相談下さい。

相続? 生前贈与?

親から子に財産が渡るのは、通常「相続」ですよね。
現在、男性の平均寿命が81.47才、女性が87.57才と言われてます。
すると相続を受ける子供は60才台、場合によっては70才台になっているケースも出てきます。
この年齢で財産をもらった時、
子どもはお金がそんなに必要じゃないかも知れません。
その代わり、教育費用や住宅ローンなど何かと物入りで、まだまだ収入の伸びていない30~40才台は、お金をもらえるととても助かる場合が多いと思います。
「相続」で財産が渡るには高齢すぎるのが現状だと思います。

あるご高齢の方の遺言書の作成のお手伝いをした時です。
「もっと若い時にお金を使っておけばよかった」と。
「今、こんなに持ってても仕方がない」と。


お金を有効に使うにはタイミングがあると思います。


そこで生前贈与について真剣に考えてみる必要があると思います。

生前贈与のメリットその1 自分でコントロールできる

いつ死ぬかは分かりません。つまり相続の時期はコントロールできません。
しかし贈与なら、好きな時期を選ぶことができます。

生前贈与のメリットその2 直接感謝される

死んだ後に「ありがとう」と言ってもらっても、こちらの心には響きません。
ゴッホの絵は今でこそ評価されていますが、当の本人は知らないのと同じです。
やっぱり直接「ありがとう!」って言ってもらえるの、嬉しくないですか?

生前贈与のデメリットその1 もしもの時に備えられる?

贈与したのはいいが、病気や介護で多額の費用が必要になったらどうしよう?という心配はごもっともです。
人それぞれで何とも言えないですが、もし80才で不治の病が見つかっても寿命と考えて余計な治療はしないかも知れません。
日本の介護環境は年々良くなってきてます。そしてその人の予算にあった介護を選択することもできます。
「もしもの時に備える」という意識は、そんなに高くなくてもいいかも知れません。

生前贈与のデメリットその2 贈与税

生前贈与で考えるべきは税金です。
贈与税、高いですよね。
しかし、直系血族の教育資金の贈与なら、贈与税の課税対象とはならないなど、贈与税を回避する方法もあります。
住宅なら、親が建てて、子供に使用貸借させて、遺言で相続させるなど。

色々な方法や対策があります。
私が参加している相続手続支援協会で、相続・贈与に詳しい税理士とタイアップしております。
ちょっと話を聞いて欲しいなという方はぜひご相談だけでもいかがでしょうか。

相続放棄申述受理通知書?証明書?

家庭裁判所で相続放棄の手続きの中で、
・「相続放棄申述受理通知書
・「相続放棄申述受理証明書
以上二つの書類があります。

「相続放棄申述受理通知書」は
相続放棄の手続きが完了すると裁判所から申述人になされる通知書で、
申述人全員が持っている書類です。

一方、「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄の手続きが完了した後、
裁判所に発行依頼をかけて出してもらうもので、依頼した申述人しか
持っていません。

不動産の相続登記をする際、相続人の中に相続放棄をした人がいると、
この「通知書」と「証明書」のどちらを添付すればいいのでしょうか。

以前は、「証明書」を添付しなければなりませんでした。
しかし平成27年に「通知書」を添付することができるとの取り扱いになりました。
ただし、「通知書」の内容が「証明書」と同等でないといけません。

大阪家庭裁判所の通知書の内容は、
「事件番号・申述人・被相続人の氏名」です。
一方、証明書の内容は、
「事件番号・申述人・被相続人の氏名と本籍地」です。
改めて見てみると、いずれも死亡年月日の記載はないのですね。
ちなみに大阪法務局池田出張所では、通知書の添付で申請が通りました。

通知書と証明書の内容が同等かどうか検討しないといけないですが、
証明書を取得するのは相続人にとって負担でしかないので、
通知書が一般的に登記申請で認められるようになるといいですね。

エクシブ有馬離宮の名義変更

会員制リゾートホテル・エクシブ有馬離宮の名義変更のお話です。

会員が亡くなると名義はどうなるのでしょうか。
エクシブは会員になると不動産を割合で持つことになるので、
会員名義で登記されます。
つまり会員が亡くなると、通常の不動産と同様相続登記をすることになります。
相続登記を済ませた後、エクシブ契約課に連絡を入れます。
そうすると契約課から書類が届くので、必要事項を記載し返送して完了です。
ちなみに名義変更料は5万円程度です。

次に会員が他人に権利を譲る場合はどうでしょうか。
この場合は譲受人の審査が必要となるので、相続の場合と順番が異なります。
つまり、まず契約課に連絡を入れて名義変更に必要な書類を送ってもらいます。
必要事項を記載し返送して、譲受人の審査が始まります。
この審査が通ってから、名義変更の登記をすることになります。
相続と違って、エクシブの了解を得ずに名義変更の登記はしません。
ちなみに名義変更料は30万円程度です。
相続と違い、かなりお高いですね。

不備のある自筆証書遺言の登記

相続登記のご依頼を頂きました。
自筆証書遺言を持参されていたので、その確認です。

署名あり。
日付あり。
押印あり。
全文手書きされている。
不動産の特定がしっかりできている!
裁判所の検認手続き済み。

何の問題もなさそうです。
しかし、遺言の中身をじっくり読んでいると一つ分からない点が出てきました。
遺言書には、不動産は妻と二男に相続させるとあるのですが、その割合の記載が
ないのです。
登記をする際には持分の記載が必須です。
割合の分からない遺言書に基づいて相続登記をすることはできるのでしょうか。

割合の記載がないということは、妻と二男に2分の1ずつ相続させる
と推測することが常識的でしょうか。
管轄法務局に照会したところ、2分の1ずつの持分で登記してもよいという
回答を得ました。

本件ではどうしても相続手続きに関与して欲しくない人物がおり、
その人物の了承が必要だとかなったらややこしいなと思っていたので、
自筆証書遺言のみで登記手続きを進めることができて一安心です。

相続人の配偶者が中国籍の方の相続登記手続き

中国籍の方が亡くなった場合の話ではなく、
日本人が亡くなり、中国籍の方が相続人になった場合の相続登記手続きのお話です。

今回は、日本人である夫が亡くなり、中国籍の妻が夫を相続したというケースです。
亡くなった夫の出生から死亡時までの戸籍を取得していきます。
夫の戸籍には中国籍の女性と婚姻したという旨の記載はされますが、
中国籍の妻は戸籍に入ることができません。
中国籍の妻に関して、どこまでの書類を揃えればいいのでしょうか。

中国籍の妻の住民票を取得します。
夫の戸籍には、配偶者の氏名・生年月日・国籍が記載されており、
妻の住民票にも上記と一致する情報が記載されています。
これだけでいいのかなと思いながら、住民票は住所の証明であり、婚姻関係の証明ではないと言われればそれまでなので、外国人登録原票を取得することにしました。

外国人登録原票には以下の情報が記載されます。
①氏名②性別③生年月日④国籍⑤職業⑥旅券番号⑦旅券発行年月日⑧登録の年月日⑨登録番号⑩上陸許可年月日⑪在留の資格⑫在留期間⑬出生地⑭国籍の属する国における住所又は居所⑮居住地⑯世帯主の氏名⑰世帯主との続柄⑱勤務所又は事務所の名称及び所在地⑲世帯主である場合の世帯を構成する者(世帯主との続柄,氏名,生年月日,国籍)⑳本邦にある父・母・配偶者(⑲に記載されている者を除く。氏名,生年月日,国籍)㉑署名㉒写真㉓変更登録の内容㉔訂正事項

以上から分かるように、外国人登録原票には配偶者に関する事項が記載されます。
これをもって婚姻関係を証明することができます。

実際の相続登記では、この外国人登録原票を添付して無事登記申請は完了しました。
中国領事館へ行って、婚姻に関する書類を取得する必要はありませんでした。

ちなみに外国人登録原票の請求先は以下のとおりとなります。
出入国在留管理庁総務課情報システム管理室出入国情報開示係
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-1 四谷タワー13F
電話:03-5363-3005
取得には1ケ月程度時間がかかるので、余裕をもって準備する必要があります。

法務局における遺言書の保管制度その5 ~考察~

法務局における遺言書の保管制度について、4回に分けてざっと案内させて頂きました。

さてこの遺言書保管制度をどのような方が利用すればいいのか考察してみます。

1.公正証書遺言との違い
公正証書遺言の最大のメリットは、関与させたくない相続人を廃除して手続きを進め
ていくことができることです。
遺言者の死亡後、通常の自筆証書遺言では、裁判所での検認という手続きがあります
し、法務局の保管制度では、法務局から相続人全員へ通知されるという点で、相続人
全員の関与が避けられません。

2.通常の自筆証書遺言との違い
通常の自筆証書遺言のメリットは、安い(無料)・簡単という点です。
財産目録は手書きでなくてもよくなったので、より簡単になりました。
しかし紛失や、遺言書の存在を知らせれば中身を確認されてしまう、改ざんされてし
まうというおそれがあります。
また遺言書は形式が厳格に定められているため、形式が整っていないと無効となるお
それもあります。

3.法務局における遺言書保管制度手続きの取捨選択についての考察
相続人が多い、相続人の内に行方不明者がいる、疎遠になっている、知られたくない
人がいるという場合は費用をかけてでも公正証書遺言を選択すべきです。かける費用
以上のメリットを享受できると思います。

自筆証書遺言について、相続人が妻と小さい子供だけで、遺言書の内容をオープンに
しても構わないという場合は通常の自筆証書遺言でいいと思います。
例えば、若くして病気になり、自分の死後は全て妻に託すというような場合です。

多少の費用をかけて、遺言書の形式をしっかり確認しておきたい、遺言書の内容を秘
密にしておきたい、紛失のリスクを押さえたいという場合は法務局の保管制度を選択
することになります。
相続人への通知は、通常の自筆証書遺言は裁判所経由で、保管制度を利用している場
合は法務局経由の手続きとなり、手続き的には法務局の方が敷居が低くてやりやすい
かなと思います。

 

法務局における遺言書の保管制度その4 ~遺言者死亡後の手続き~

不動産の相続登記や銀行等での名義変更の手続きは、
遺言書情報証明書」を確認することにより行うことができます。

遺言書情報証明書の取得方法は以下のとおりです。

1.どこに行けば取得できる?
法務局です。
遺言書を保管している法務局以外の法務局でも取得できます。

2.誰が取得できる?
①遺言者の相続人
②受遺者
③遺言執行者
などなど

3.どんな書類が必要?
①交付請求書
②法定相続情報もしくは遺言者の出生から死亡までの戸籍
③相続人の住民票(作成後3カ月以内のもの)
④請求人の本人確認書類として、住民票や運転免許証など

4.遺言書情報証明書が発行されると、全ての相続人・受遺者・遺言執行者に
遺言書を保管している旨が通知されます。
ただし、通常の自筆証書遺言で必要な、裁判所での検認手続きは不要です。

死亡した遺言者の出生から死亡時までの戸籍、全ての相続人の住所が分かる資料を
集めないといけないので、意外に大変です。