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法務局における遺言書の保管制度その3 ~遺言書の内容を変えたくなった~

無事に遺言書の保管が法務局で受付されました。
その後遺言書の内容を変えたくなったり、やめたりすることはできるのでしょうか。

1.遺言書の内容を再確認したくなったら?
遺言書の閲覧をすることができます。
この閲覧請求は、遺言者のみすることができます。
遺言者以外の者は、遺言者の生存中は、閲覧を含め、遺言書保管所から
いかなる情報も取得することはできません。

2.遺言書の内容の変更したくなったら?
一度保管をした遺言書に、遺言内容の変更を加えることはできません。
内容を変更するときには、
・保管の申請の撤回をしてから、新たな内容の遺言書の保管の申請をする。
・撤回をせず、新たな内容の遺言書の保管の申請をする。
のどちらかを選択することになります。

3.遺言者の住所が変更になったらどうする?
以下の内容に変更が生じたら、その旨を法務局に届け出なければなりません。
・遺言者の氏名、出生年月日、住所、本籍
・受遺者若しくは遺言執行者の氏名、住所

4.遺言書を取りやめたくなったら?
遺言者は、遺言の保管の申請を撤回することができます。
撤回は、保管申請の場合と同様に、本人確認が必要となるため、
遺言者本人が法務局に赴かなければなりません。

法務局における遺言書の保管制度その2 ~申請手続き~

法務局における遺言書の保管申請の手順は以下のとおりです。

1.管轄法務局に保管申請の予約を入れます。
・予約は,手続を行うご本人が行います。
・予約を行うことができる期間は,30日先までです。
・当日の予約はできません。
・予約日の前々業務日の午前中まで予約をすることができます。
例)月曜日の予約は,その前の週の木曜日の正午まで予約可能。

2.予約当日、以下の書類を持参し手続きを行います。
・申請書(申請書は法務省のホームページにあります。
パソコンで入力しても、手書きでも大丈夫です)
・自筆証書遺言書
・財産目録
・顔写真付き本人確認書類
・住民票(本籍地入り)もしくは戸籍謄本と戸籍の附票のセット

3.申請が受け付けられると、保管証が交付されます。
保管証には以下の内容が記載されます。
①遺言者の氏名及び生年月日
②遺言書が保管されている保管所の名称及び保管番号
保管証を利用すれば、遺言の内容の秘密を保ったまま、遺言書を法務局に保管してい
ることを相続人などに知らせることができます。
なお保管証の再発行はなされません。

法務局における遺言書の保管制度その1 ~概要~

自筆証書遺言は、自書することができさえすれば、
いつでもどこでも作成することができ、費用もかからないので、
手軽かつ自由に利用することができます。

一方で、紛失してしまう、改ざんされる、遺言者が遺言書の存在に気付かないなど
リスクがあります。

そこで上記のリスクを解消するための方策として、
自筆遺言書の保管制度が創設されました。

1.管轄の法務局はどこ?
遺言者の住所地・本籍地・不動産の所在地を管轄する法務局です。
ただし、出張所では取り扱いされておりません。
そのため兵庫県内では、須磨・北・東神戸・三田・八鹿の出張所では
取り扱いがありません。

2.申請者はだれ?
遺言者本人のみです。
遺言者本人が法務局に赴かなければなりません。もちろん介添えはOKです。
身内や司法書士の代理申請は認められません。

3.必要書類は?
申請する時、遺言書保管官による遺言者の本人確認がなされます。
本人確認は顔写真付きの書類に限定されているので、
顔写真付きの身分証明書を準備することが必須となります。
・個人番号カード
・免許証
・運転経歴証明書
・パスポートなど
他には、①本籍の記載のある住民票 ②戸籍謄本及び戸籍の附票(3カ月以内のも
の)があります。

自筆証書遺言の改正~平成31年1月13日~

改正前の自筆証書遺言は、遺言者がその全文を自書しなければなりません。
遺言書の内容の他に、不動産や金融機関の記載などしなければならず、
遺言者にとって「全文自書」はとても大きな負担でした。

実際、それが面倒で遺言書の作成を見送ったお客様を何人も見てきました。

今回の改正により、相続財産の目録を添付する場合には、その目録については
自書する必要はないとされました。
財産目録の用紙毎に遺言者が署名・押印するだけでOKです。
遺言書の内容については、今まで通り全文自書する必要があります。

財産目録は、
・パソコンで作成したもの・遺言者以外の者が代筆したもの
・不動産の登記事項証明書・預貯金通帳の写しなどが認められます。

この取り扱いは、平成31年1月13日以後に作成された自筆遺言証書について
適用されます。
それ以前に作成されたものは、全文が自書されていないと、無効です。

戸籍謄本の広域交付

戸籍謄本・除籍謄本が磁気ディスクをもって調整されている時、
本籍地以外の役場でも、戸籍謄本・除籍謄本を取得することができるようになります。

請求できる人は、「本人」、「配偶者」、「直系尊属」、「直系卑属」です。

戸籍謄本の広域交付は令和5年度からの運用が予定されております。

なお弁護士・司法書士などの職務上請求については適用外とされているので、
専門職はこれまで通り本籍地の役場へ請求することになります。

一時払い終身保険を考える~遺留分対策~

父・母・長男・次男の4人家族。
父はすでに他界しております。
母の総資産は8000万円で、その全額を長男に遺そうと思っています。
そうすると次男の長男に対する遺留分が2000万円となります。

そこで母が「一時払い終身保険」に加入します。
これは母が90歳まで加入できる保険です
(加入できる年齢は保険会社によります)
2000万円分を一時払いしたとしましょう。
契約者は母、受取人は長男です。

母が亡くなった時、長男が死亡保険金として2000万円を受け取ります。

保険に加入しなければ、弟の遺留分請求権は2000万円でした。
ところで、2000万円分の保険に加入することで、母の相続財産は6000万円になっています。
(長男が受け取った2000万円は長男固有の財産とみなされます。)
なので、弟の遺留分請求権は1500万円となります。
保険に加入することで、遺留分の現金を準備することができると同時に、
遺留分の額も減らすことができるということになります。

保険は相続税の控除にも使えますし、是非検討すべき相続対策ですね。

配偶者居住権 メリットとデメリット

登場人物 父・母・子
父が自宅所有 家の価値が2000万円とします。
これでお父さんが亡くなった場合

配偶者居住権のメリット
お母さんが、法定相続分で、お金をより多くもらえることです。
配偶者居住権の財産価値は、お母さんの年齢により平均余命を勘案して決められます。
例えばお母さんが、
65歳なら半分くらい(約1000万)
80歳なら30%くらい(約600万)
90歳なら15%くらい(約300万)
これを無償で相続するので、
お母さんが家を配偶者居住権で相続すると、より多くのお金を相続できるということになります。

配偶者居住権のデメリット
1.認知症対策
配偶者居住権は登記されます。もしこの家を売却する必要が出てきた場合、この配偶
者居住権をお母さんが放棄し、登記を抹消する必要があります。この時、もしお母さ
んが認知症だった場合、配偶者居住権を放棄して、抹消登記をすることができなくな
り、家の売却手続きが進まなくなってしまいます。

2.税務上の問題
お母さんが配偶者居住権を放棄した場合、配偶者居住権分の価値を子がお母さんから
贈与を受けたという考え方になると思います。
まだ事例がないので何とも言えませんが、贈与税が発生する可能性はあります。

いずれにせよ、不動産を売却する可能性がある場合、配偶者居住権には注意が必要かもですね。

遺言書必要度チェック

7月10日から法務局で遺言書を預かってもらえる制度が始まります。
遺言が必要かどうか、検討してみてはいかがでしょうか。

遺言必要度チェック
□ 子どもがおらず、配偶者に遺産を全部のこしたい
□ 特定の相続人に財産をのこしたい
□ 相続人以外の世話になった人に財産をのこしたい
□ 残される配偶者に配偶者居住権を設定したい
□ 内縁関係のパートナーに遺産をのこしたい
□ 相続人がいない、または大勢いる
□ 離婚した相手との間に子どもがいる
□ 再婚した相手に子どもがいる
□ 認知したい子どもがいる
□ 相続人の仲が良くない、または疎遠である
□ 財産が多い(不動産を複数所有している)
□ 相続人のなかに音信不通、行方不明の方がいる
(以上日本司法書士連合会より)

法務局における遺言書の保管について

法務局における遺言書の保管制度が令和2年7月10日から始まります。

そこで、この遺言書の保管制度について概略をまとめておきたいと思います。

1.費用について
① 遺言書の保管の申請     1件につき3900円
② 遺言書の閲覧        1回につき1700円
③ 遺言書情報証明書の交付   1通につき1400円
④ 遺言書保管事実証明書の交付 1通につき800円

2.手続について
① 申請は、遺言者のみが行うことができます。
② 管轄は、遺言者の住所地・本籍地・不動産所在地となります。
③ 住所や本籍地、内容に変更があった場合には、その旨届け出る必要があります。
④ 遺言者の死亡後は、関係相続人は閲覧や証明書の請求ができるようになります。
逆に、遺言者が生存中、関係相続人は閲覧などができないということになりま
す。

3.保管期間について
遺言者の死亡の日から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間。
① 遺言書の保管については、50年
② 遺言書に係る情報の管理については、150年。
③ 遺言者の生死が明らかでない場合には、出生の日から120年。

また詳細が分かり次第、お伝えしていきます。

死後事務委任契約の作成

死後事務委任契約書を公証役場にて作成しました。

死後事務委任とは、依頼主の死後のあらゆる事務手続きを
ある人に委任しておく契約です。

子どもなどの相続人がいれば特に作成する必要もないかと思います。
相続人がいない場合、代わりに動く人間が必要となりますが、
相続人でない人間が動く場合、特に対役所などではいろいろと
不都合が多いように聞きます。

そこで死後事務委任契約書を作成しておけば、言わば委任状と同じなので、
ストレスを感じることなく、相続手続を進めることができるというわけです。