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カテゴリー別アーカイブ: 不動産登記

法務局からの電話

法務局から電話があるとうろたえます。
その連絡は、申請で何らかの訂正事項がある時の
「補正通知」だからです。
今日、大阪法務局不動産部門からの着信がありました。
今、大阪法務局にどんな登記申請をしているか、瞬時に頭を巡らせます。
思い当たるのは1件。
「相続登記」と「買戻権抹消登記」の案件です。
それらしい論点もなく、見当がつきません。
スマホの画面を眺めること2~3秒。
早く電話に出ろって感じです。

「大阪法務局権利調査の〇〇です。
昨年末に申請して頂いている件ですが、」

やはりこの案件か。
どんな補正?

「登記完了予定日を過ぎていて申し訳ございません。
もうあまり時間がかからずに終わりますんで、
もう少しお待ちください」

まさかの登記完了が遅れていることの謝罪の電話。
こんな連絡初めてです。
近頃、司法書士を使わずに本人申請する案件が増えているので、
法務局への問い合わせの電話が多いのかしら。
法務局に同情します。

結局その日の夕方に登記完了の通知が届きました。

家族信託を利用すべきか否か

今回はセカンドオピニオンとして相談を受けた案件で、
相談者に家族信託ありきで話をもっていくのはどうかという話です。

家族構成は、父・母(共に79歳)・兄(51歳)・妹(48歳)。
兄は知的障害があり、意思表示は無理。現在施設に入所中。
財産は、不動産(自宅 父母共有名義)と預貯金。

父・母亡き後のお兄様の生活を心配して案じていたところ、
家族信託の情報を聞き、とある機関に相談したところ
父と母の家族信託でそれぞれ100万円ずつかかると言われたそうです。
その金額に驚き、以前妹の夫の相続関係で関与した私のところに
相談が入りました。

1.もしお父様(お母様)が亡くなったら
相続が発生します。
遺産分割の協議が必要な場面ですが、お兄様が意思表示不能です。
協議できません。そこで成年後見制度の登場です。
お兄様には成年後見人が付きますが、これはお兄様がお亡くなりになるまで
永続します。月2~3万円が発生します。これは避けたい。
ということで、お父様とお母さまのそれぞれの遺言書の作成は必須手続きと
なります。
2.もしお父様(お母様)が認知になったら、預貯金はどうする?
妹が、認知症であるお父様のお金を勝手にいじることはできません。
お父様が認知症になる前に家族信託契約を締結しておき、金銭信託をしておけば
問題なくなるでしょう。
ここでお母様がおっしゃいました。
「今まで娘を信頼してきたし、これからも娘を信頼していくし、
頼れるのは娘しかおらんのやし、娘の自由にしてくれたらええのちゃいますの?」
お母様のおっしゃること、本当にそうなんですよね。私もそのように考えます。
娘への信頼を書面にするだけで大金がかかるのはよく分からないというわけです。
例えば、ここにもう一人の兄弟がいて、その兄弟がややこしいことを言ってくる
可能性があるのなら、信託契約をしっかり巻いておく必要性が出てくるかと思いま
す。
今回は、家族信託を形成する必要性は低いと思います。
3.もしお父様(お母様)が認知になったら不動産はどうする?
共有名義なので、どちらかが認知になったら不動産を売却することはできなくなりま
す。将来的に小さなマンションへの引っ越しや施設代にするための売却を考えるのな
ら、認知症対策として不動産を娘名義に信託で移しておくことが有益です。
そして不動産の家族信託を考えるのなら、ついでに先ほどの預貯金の信託も併せてや
っておいた方がいいのかなと思います。
家族信託を利用するかどうかは、家族会議で検討してもらうことになりました。
問題点を共有するために2時間ほど時間を要しましたが、
「何だか方向性が見えてきてすっきりしました」との言葉を頂戴し、
私もそっと胸を撫でおろすのでした。

名古屋へ出陣じゃ~

名古屋へ行ってきました。
三十三銀行名古屋法人営業部で、不動産取引のお仕事でした。

久しぶりの出張。
「のぞみ」を手配するだけで興奮します。
前乗りしようか、それとも仕事終わった後に名古屋の夜を楽しもうか。
色々考えます。
勝手にドキドキします。
でも一緒に遊んでくれる人がおらず、
一人で名古屋の夜を楽しむ勇気もなく、
結局当日朝出発して、午後3時には事務所に戻ってきました。
名古屋滞在時間4時間程度。
意気揚々出陣したものの、敵前逃亡といった感じになりました。
知らない大都市って怖い・・・

朝8時半に新大阪駅に行ったのですが、
大阪から出ていく人たち、大阪へ来る人たちでごった返しておりました。
圧倒的なスーツ姿の人たちの数。
皆さんご苦労様です。

現地調査~香川県多度津町遠征~

香川県仲多度郡多度津町にある土地の相続登記を済ませました。

ただ相続人の皆様ははこの土地に住んでおらず、放置状態になっております。

土地を処分する方法として二つ
1.売却する
2.国庫帰属制度を利用する

ただこの土地の地目は「畑」になっており、農地法の関係で、
地目を「雑種地」などにしないと売却はできません。
1と2のどちらを選択するにせよ現地調査が必要です。

というわけで、私、その土地を見に行きました。

普段は不動産屋さんとか調査士の先生にお任せしているので
司法書士が不動産の現地を見ることはあまりありません。
現地に行って、現場と図面を見比べます。
どこが対象の土地なのか・・・
「わからん」
おおよそは分かるのです。
ただちゃんとは分からない・・
人様に売却する時に、「だいたいこのあたりの土地で~す」なんて言ってられない。
プロに任せるか~

ただ現況農地かどうかぐらいの調査はできたので、
その辺りは多度津町役場に行って調整してきました。

それにしてもこの暑さの中、現地測量なんてすごい作業です。
現地をうろうろしただけで、大量の汗が流れました。

ベトナムの国葬→署名証明発行できませんって・・

明日はベトナム国籍の方の不動産の売却取引の予定でした。

前日になって、「印鑑証明書がない」旨の連絡が仲介業者からあり、
「何で前日やねん」と思いながらも、まずはできることからと気を取り直します。

幸い、売主がベトナム領事館勤務とのことだったので、
無理を言えば即日で署名証明書が取得できるかと思い、その旨依頼しました。

そしたら驚愕の回答が。
「国葬のため、今日と明日は証明書が取得できません」

ネットで調べてみると、19日に最高指導者「グエン・フー・チョン」書記長が
お亡くなりになり、今日と明日に渡り国葬が催されるとのこと。
日本からは菅義偉前首相が追悼に訪れているとのこと。

お偉い方には違いないんでしょうけど、
役所の手続きが全てストップするなんて、お国が違えばってやつですね。

明日の取引は、延期です。

国内連絡先の登記~R6.4.1の法改正~

海外居住者(自然人・法人)を所有権の登記名義人とする登記の申請の際には、
国内における連絡先となる者の氏名・住所等の国内連絡先事項を申請情報として
提供することになりました。

申請書記載例
権利者 ○○国○○州○○通り 法 務 太 郎
国内連絡先  兵庫県尼崎市〇〇町〇丁目〇〇番地  望月賢治

添付情報として、
①国内連絡先となる者の承諾情報
②承諾者の印鑑証明書
が必要となります。

この承諾者は、個人でも法人でもよく、不動産関係者や司法書士がなることが想定されています。

今回初めて国内連絡先を私として国内連絡先の登記をしました。
これからこのような登記が増えて、その度に私を国内連絡先とするのはいいとして、
私の住所が変わった場合、どうすればいいのか?という一抹の不安を抱えながら・・・

病院での本人確認のむずかしさ

本日売主様の意思確認・本人確認のため労災病院へ行ってきました。

幸いお元気そうで、確認自体に手間は取りませんでした。

難しいと感じたのは、病院とのやり取りです。
本人の体調の問題で担当医師の了解が必要。
これはよ~く分かります。
体調がよろしくない時に本人確認作業は避けたいところで、
不動産決済の日時を変更する方向で検討するでしょう。

二人同時は無理。
これが分からないんです。
今日で言うと、娘さんと私が病院へ赴きました。
娘さんと私が同時に、売主であるお父様と面談できないということなんです。
まず娘さんが入り、私が来ていることを伝えてもらう。
次に私が入り、確認作業を行う。
そして娘さんと交替して、お父様に別れを告げる。
今回のケースですと娘さんの誘導を避けるという意味では、お父さんと私での
二人きりで本人確認作業を行うのは意義のあることだと思います。

どうしてもダメなのは公正証書遺言を作成する場合。
公正証書遺言を作成する場合、どうしても公証人と証人二人の合計3人が
その場に居合わせないといけません。
二人以上同時に面会するのが無理というのなら公正証書の作成は難しいです。
事前の病院との打ち合わせがとても重要となってきます。

会社法人番号が不動産の登記事項になりました

令和6年4月1日より、所有権の登記名義人が法人であるときの
所有権の登記の登記事項として、会社法人等番号が追加されることになりました。

また令和6年4月1日以前に不動産の名義を取得した法人も、申し出ることに
よって会社法人等番号を登記することができます。(下記イメージ図)

令和8年4月1日からは、会社法人等番号を検索キーとして、商業・法人登記システムの
情報に基づき、登記官が職権で法人の名称又は住所の変更の登記をすることが想定されて
いるとのことです。

外国の方の住民票~外国人登録原票~

外国の方の住民票についてのお話です。

現在は日本人も外国の方も住民基本台帳法が適用されておりますので住所は住民票で確認します。
ところで、外国の方に住民基本台帳法が適用されるようになったのは、平成24年7月(2012年)からで、それ以前は外国人登録制度に基づいた書類が作成されておりました。

何が問題か。
外国の方の住民票は、法改正があった平成24年7月以降の事実しか記載されていません。
平成24年7月以降に住所変更した場合には、住民票を取得すればその事実を確認することができます。
しかし平成24年7月以前に住所変更している場合、住民票を取得してもその事実を確認することはできません。
どうやって確認するか。
外国人登録原票」を取得して確認することになります。
出入国在留管理庁総務課情報システム管理室出入国情報開示係に郵送請求することにより取得します。
取得するには1ケ月程度かかりますので、必要な場合には早めの準備が必要です。

請求してみなきゃ分からんぞ~住民票の除票・戸籍の附票~

相続登記手続において、住民票の除票や戸籍の附票を取り寄せます。

以前は、住民票の除票、戸籍の附票の除票の保存期間は5年間とされていました。
5年を超えた住民票の除票、戸籍の附票の除票は廃棄されていました。

ところで先日えっ?なことがありました。
平成25年に除籍となった戸籍の附票は5年経過により廃棄されました。
ところが平成21年に原戸籍となった戸籍の附票は廃棄されておらず、
取得することができました。(同じ戸籍の話です)

あと役所によって取れたり取れなかったりすることもあるように思います。
尼崎市はきっちり廃棄してくれておりますが・・・

なので、5年経過しているからもう廃棄されているかなとあきらめずに、
全て出してくれとまずは請求してみて下さい。
あきらめたらそこで終わりですよ~

ちなみに法改正により、現在の保存期間は5年から150年に延長しております。
(令和元年6月20日)
ただ廃棄されてしまったものは復活しません。