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カテゴリー別アーカイブ: 不動産登記

第2回信託実践研究会に参加してきました

昨日、株式会社トータル財務プラン様が主宰される
「信託実践研究会」に参加してきました。

信託・任意後見・成年後見・遺言などの手続きのメリット・デメリット、
対費用効果など実務の観点から非常に役立つ研究会となりました。

特に信託は、実務・登記・判例の洗礼を受けていない制度なので、
不確実なところがあるのは避けがたいのですが、
とても魅力的な制度ですので、利用しない手はないと考えています。

このような研究会に参加し、修練を積み、皆様のお役に立てるように
していきたいと考えます。

信託受益権の売買による所有権移転登記のスキーム

信託対象不動産の受益権を売買し、信託契約を解除することによって所有権を受益者に移転するという不動産所有権移転スキームが用いられることがあります。

先週行った登記手順はこうです。

①登記簿上の受益者が受益権を売却し、買主への「受益者変更」登記を申請する。
②受託者と新受益者とで信託契約を合意解除し、その結果として、「所有権移転」登記と
「信託抹消」の登記を申請する。

所有権移転登記をする際、登記原因は「売買」ではなく「信託財産引継」となります。
信託条項の中で、「信託契約が終了したら、受託者は受益者へ所有権移転の登記をする」という趣旨の定めがあり、これに基づいて所有権移転しているからです。

ちなみに「売買」を原因とする土地の所有権移転の登録免許税率は1000分の15ですが、
「売買」以外の登記原因である「信託財産引継」は1000分の20です。

法定相続情報一覧図を作成しました

昨年の5月から運用が開始された法定相続情報。
遅ればせながら、昨日作成してきました。

法定相続情報一覧図を事務所で作成し、
法務局でその一覧図を証明文書にしてもらいます。
申請する法務局には管轄があります。
(1)被相続人の本籍地
(2)被相続人の最後の住所地
(3)申出人の住所地
(4)被相続人名義の不動産の所在地

一発目の作成だったので、地元の尼崎支局が良かったのですが、
管轄が合わず、北大阪支局へ行ってきました。

今まで相続登記で作成していた相続関係説明図とは少し形式が
異なります。
これで法定相続情報を作成するポイントは掴みました。

信託実践研究会に参加してきました

昨日、「株式会社トータル財務プラン」が主宰する
「信託実践研究会」に参加してきました。
金融機関、不動産関係など様々な分野のプロ集団が集まっての研究会で、
特に講義が終わったあとの情報交換会では、実践の名にふさわしい
興味深いお話を聞くことができました。

民事信託とは、資産を持つ人が信頼のできる家族などに資産を預け、
「高齢者や障害者のための財産管理」や「柔軟な資産承継対策」を
実現しようとする財産管理方法のうちの一つです。

以前ご夫婦で相談に来られたお客様の話です。
お客様には子供がおられず、夫婦それぞれの財産の承継方法
についてのご相談でした。
遺言書、任意後見、財産管理契約など様々な提案をさせて頂きましたが、
どれも今ひとつピンときません。
そこで信託という方法がありますよと紹介させて頂いたところ、こんないい方法が
あるのかとすぐに決断して頂きました。
リスクはないのかと逆にこちらが心配したほどです。

信託という方法を使えば、もっともっといろいろなことができそうな気がします。

さらに深く検討していきたいと思います。

権利証書がない時の対処法~事前通知~

所有権移転登記を申請するには、売主は登記識別情報、いわゆる「権利証書」が必要です。
しかし「権利証書」を失くしてしまっている場合、どうすればいいのでしょうか。

どんな事情があっても、権利証書の再発行はできません。

その1 司法書士が「本人確認情報」を作成する
権利証書の再発行はできませんが、司法書士がそれに代わるものを作成して、
登記申請を進める方法です。
司法書士が売主様と直接お会いして、免許証などを確認して本人確認をする
というものです。

その2 「事前通知制度」を利用する
権利証書がない状態で登記申請をします。法務局から売主様宛への「本人限定
受取郵便」にて、登記申請があったがこれが真実かどうかの問い合わせが事前に
通知されます。

私が遺言執行者として、遺贈による所有権移転登記手続きを行っているのですが、
不動産の権利証書がありません。そこで普通なら本人確認情報を作成する所なのですが、
登記義務者は遺言執行者である「私」、登記申請代理人も「私」、自分が自分で本人確認情報を
作成するのも変な感じがしたので、今回は「事前通知制度」を利用しました。

今から、法務局へ「事前通知に基づく申出書」を持参してきます!

韓国籍の相続登記~外国人登録原票の取得~

最近取り扱った、韓国籍の方の相続登記のお話です。

まず韓国から戸籍謄本を取り寄せることから始めます。
取り寄せた戸籍はハングル文字なので、それを翻訳します。
それで相続人が確定できたら、あとは日本人の相続手続きと
同様に、遺産分割協議書などを作成して、登記申請します。

さて今回のケース。
取り寄せた戸籍だけでは相続人が確定できませんでした。

そこで参考資料となるのが、外国人登録原票です。
外国人登録原票の記載事項に、
「世帯を構成する者(続柄・氏名・生年月日・国籍)」があります。
この記載事項をもって戸籍で不足していた情報を補うことができる
ケースがあります。

ところがこの外国人登録原票。法務省入国管理局で一括管理
されているので、取得するのに請求してから1カ月近くかかります。
急いでいる場合には注意が必要ですね。

所有権移転登記後の権利証書

AさんからBさんへ所有権移転登記を済ませたとします。
するとBさんの新しい権利証書が発行され、
Aさんが所有していた権利証書は用済みとなります。

ところがAB間の売買に何らかの錯誤があって、無効となってしまいました。
Bさんへの所有権移転登記を抹消することになります。
すると、一度用済みになったAさんの権利証書はその役割を取り戻します。

今日、お客さんの権利証書を事前確認していたのですが、
その権利証書がまさに上記のケースでした。
大切に保管されていたのですね。

権利証書をもう処分してしまったよ~という場合には、
司法書士による本人確認情報でもって権利証書に代えることになります。
別途費用がかかっちゃいますけど・・・

法定相続情報証明制度

不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権移転登記(相続登記)をすることになりますが、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加し、これがいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっています。

このため、政府として相続登記の促進に取り組むとされ、そこで検討されているのが、不動産登記規則を改正による、「法定相続情報証明制度」の創設です。

「法定相続情報証明制度」とは。
①法定相続情報一覧図(家系図みたいなもの)を作成し、その作成の根拠となった戸籍一式と共に法務局に提出します。
②登記官がその情報を確認し、法定相続情報一覧図を保管します。(戸籍などは返却されます)
③法務局は、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付します。
④この一覧図をもって、法務局や銀行、保険など各種手続きを進めていくことができる。
というものです。各関係機関にいちいち戸籍を持っていかなくてもいいということですね。
(というか相続手続きを受け付ける側が楽になるだけのような感じがしないでもない)

手続きとしては便利になるのでしょうが、これがどう所有者不明土地問題や空き家問題の解決につながっていくのか、さらなる改正案が出てくるのか、注視していきたいと思います。

権利能力なき社団

「権利能力なき社団」とは、
公益も営利をも目的としない、「団地自治会」「学友会」「町内会」などです。
法人登記されていないため、登記名義人となることができません。

登記名義人となることができないため、登記をする必要が生じた場合、
社団の構成員全員の名前で登記するか、代表者の名前で登記するかしか
方法がありません。
構成員全員の名前で登記されている場合、何十名となることも少なくありません。
そのような登記簿を実際何度か見かけたことがあります。

さてこのような不動産を売却することとなった場合、登記義務者が何十名だと
かなり大変な作業となります。しかもそれは身内ではなく、赤の他人同士の
集まりなのですから、想像を絶する作業になるでしょう。
しかもその内の一人が行方不明である場合、どうすればいいのでしょう。

そのような場合、「認可地縁団体による公告を求める旨の申請手続き」というものが用意されています。(自治法260条の38第1項)
条件を満たせば、市役所が「この不動産は認可地縁団体のものである」旨の証明書を発行し、その証明書をもって法務局に申請すれば、その不動産は認可地縁団体名義で登記されることになります。
そしてその後売却の手続きをとればいいことになります。

この手続きは平成27年4月1日から施行されております。

登記研究826号より

相続登記をする時期

以前から顔を見知っているAさん。 
ふらっと事務所に相談に来られました。

「亡くなった主人の13回忌も終わったし、そろそろマンションの名義変更しようかしら」

相続税の申告は10カ月以内にするという制限がありますが、
相続登記はいついつまでにしなければならないという決まりはありません。
だからご主人名義のままにしておいた登記を、13回忌を区切りとして、
奥様に変えるということは、法律上全然問題ないんです。い~んです。

ただ以下のような問題が出てきます。
1 相続登記の必要書類の中に、ご主人の住民票の除票があります。 
  死亡後5年を経過すると、役所は除票を破棄してしまいます。
  上申書など別途作成する書類が増えてしまいます。

2 相続登記をしない間に、相続人の一人が死亡してしまい、
  子どもの配偶者が相続人になるなど、血のつながりのない人が相続人となり、
  相続関係がややこしくなってしまいます。

以上のように手続きがややこしくなったり、費用がかかってしまうように
なってしまうので、落ち着いたらできるだけ速やかに相続登記をした方が
いいのかなと思います。