贈与について

  • 贈与税の申告は毎年2兆円で、増加傾向にあると言われております。相続税の申告が12兆円程度なのでやはり贈与は多いと思います。
    今までは、「儲けて、殖やして、貯めて、守って、死ぬ」、亡くなる時が人生最高残高というケースが多かったのですが、果たしてこれでいいのか?「生前に財産を使う」という価値観が出てきたからだという話を聞きます。

    また相続との違いも意識されてきていると思います。相続はもらう側の権利であり、もらう側に主導権があるのですが、贈与は贈与者の意思で、いつでも、どこでも、誰でも、何回でもできるという特徴があります。
    また贈与をしている家は相続でもめないとも言われております。ラーメンパーティ理論というのがあって、パーティに行く前にラーメンをお腹に入れておくと、パーティではおいしい料理にがっつくこともなく上品に振る舞うことができ、周りからの評価が上がるというものですが、相続が発生した時点で空腹でなければ、つまり贈与を受けていれば、相続財産にがっつくことも少なく、もめる要素が少なくなるというのです。

    司法書士としてどんな贈与に関わることができ、お手伝いできるのか紹介したいと思います。

相続時精算課税制度

控除額が2,500万円もあるため、生前贈与が行いやすくなるというものです。
控除額が2,500万円あるというのは、2,500万円までの贈与なら無税ということです。
この制度を利用して親から子へ例えば不動産の名義を移しておくということが可能です。

相続時精算課税を選択できるのは、以下の条件を満たす場合です。
(年齢は、贈与の年の1月1日現在)

財産を贈与した人(贈与者)

65歳以上の親

財産の贈与を受けた人(受贈者)

20歳以上の子である相続人
(子が亡くなっている場合は、20歳以上の孫を含む)

夫婦間の2000万円贈与 (配偶者控除)

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合は、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円までを控除できるという特例があります(配偶者控除)。
この配偶者控除は、一生に一度しか使うことができません。

特例を受けるための要件

1.夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

2.配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること(不動産・現金、どちらの贈与も対象)

3.贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

財産分与

夫婦と子供が一緒に住んでいる夫名義の不動産があったとき、夫婦が離婚して妻と子供が残り、夫が出ていくというパターンが多いかと思います。
この時、夫名義から妻名義へと不動産の名義変更をする必要が生じます。

以下にいくつか注意点を述べておきます。

1.不動産を財産分与すると、分与する側(上記では夫)に譲渡所得税がかかります。但し3,000万円の控除があるのであまり問題ないかと思います。

2.不動産を取得すると(上記では妻)、通常不動産取得税がかかりますが、財産分与ではかかりません。ただし、慰謝料として不動産を受け取るときには不動産取得税がかかります。

3.住宅ローンの抵当権が設定されているとき、財産分与で不動産の所有権だけを移転する場合には抵当権者の承諾を得る必要があります。また住宅ローンの支払い者は夫のままで、不動産の所有権だけの移転を受けた場合は非常に危険です。なぜなら夫が住宅ローンの支払いをしなくなった時、妻側で支払いをしなければ競売にかけられてしまう可能性があるからです。

贈与関連手続き

報 酬 実費・税金
所有権移転登記手続き 50,000円 不動産評価額×2%
贈与契約書など作成 10,000円~20,000円
日 当 10,000円
登記簿謄本 0円 実費