家族信託のすすめ

「家族信託」は超高齢社会においてご家族が抱える様々なリスクに備えるための新しい財産管理の手法です。
超高齢社会における大きなリスクは、高齢者が認知症等により判断能力が衰えた場合の資産凍結リスクです。
このようなリスクも「家族信託」を活用することで、解決することができます。

当事務所は弁護士、税理士、社労士、FPが参加している一般社団法人相続手続支援協会に参加しており、様々な観点から課題をチェックする万全の体制を整えております。

事例1~老親が認知症になった後も、相続対策ができるようにしておきたい~

~事例~
X(85)は、多くの資産を所有していますが、特にこれまで相続税対策については考えたこともありませんでした。もしこのまま相続が発生すると、多額の相続税を納めなければならなくなります。
Xの推定相続人は、長男A、長女B、二女Cの三人で、円満な兄弟関係です。長女Bと二女Cは、嫁いでいるので、多くの土地については姓を継ぐ長男家族が最終的に相続することにX及び家族・親族の全員が納得しています。
今はとても元気なXですが、年齢を考えると早急に相続税対策を考え、将来の納税資金を用意しておかなければなりません。これから速やかに、不動産を子へ売却したり生前贈与したり、数年かけてマンションや医療モールの建設をすること等を考えていますが、数年にわたる資産の有効活用・相続税評価減の計画途中でXの判断能力が低下してしまうと計画が頓挫してしまうので、そのことが心配でなかなか計画を実行できません。

~解決策~
Xは、長男Aとの間の契約において、X所有のほとんどの不動産を信託財産とする信託を設定します。 その内容は、受託者をA、受益者をXとします。さらに、受託者長男Aが暴走して勝手に土地を売却するなどして資産を散逸しないように、司法書士を信託監督人として予め契約の中で設定します。Xが死亡した時点で信託を終了させ、信託の残余財産の帰属先を長男A又は長男Aの子に指定します。
信託財産とした不動産以外の資産(金融資産等)については、長女Bと二女Cに相続させる旨の遺言を別途作成しておくことで、長女Bも二女Cも不満を抱かないようにします。また、長男Aに対しては信託財産から毎月一定額の「信託報酬」を、司法書士に対しては「監督報酬」を信託財産の中から支出するように、信託契約の中で取決めをしておきます。

~ポイント~
この信託契約により、贈与税・不動産取得税の課税は発生しません。
委託者Xの判断能力の低下を懸念して計画を実行することを躊躇していましたが、信託を開始すれば、Xが設定した信託目的に従って不動産が分別管理・運用されますので、基本的に委託者Xの個別の事情(健康状態等)に左右されません。
つまり、もしXに認知症の発症による判断能力の低下や意思の喪失(意識不明の重体、植物状態等)が起きても、Xの承諾や本人確認を要せずに、受託者Aがその目的に従った信託財産の管理・処分を継続することができますので、Xが亡くなるギリギリまで相続税対策が可能になります。
Xの死亡により信託が終了し、残余財産の帰属先がA(又はAの子)になりますので、実質的にその部分の遺言を作ったのと同じ効果が生じます。そして、効果的な相続税対策を実行した上で、先祖代々の資産を長男家系が引継ぐことができます。

事例2~後妻に遺産を遺したいが、後妻亡き後は前妻との子に財産を渡したい~

~事例~
X(85)は、再婚しており後妻B(70)と暮らしています。
Xには、後妻Bとの間に子供はいませんが、前妻A(80)との間に子供甲が一人います。
Xは、自分が死んだら、子甲には遺留分以上の金銭を相続させ、後妻Bには自宅マンシンを相続させたいと考えています。
次に後妻Bが死亡した場合には、残った自宅マンション等の資産は、後妻Bの親族側に行
くのではなく、後妻Bの相続権のない子甲にあげたいと思っています。

~解決策~
Xは、遺言書を作成します。
その内容は、まず、子甲には遺留分以上の金銭を相続させることとし、甲に相続させる以外の遺産をすべて信託財産とする信託の設定をします。
遺言における信託の設定の中で、受託者を信頼できる親戚Zにして財産を託し、その受益者を後妻Bにします。
後妻Bの死亡により信託が終了するように定め、信託の残余財産の帰属先を甲に指定します。
こうすることで、後妻Bの遺産について相続権のない甲にもマンション等の財産を交付できることになります

~ポイント~
通常の相続では、後妻Bに確定的に移転したマンション等の財産を甲に承継させるには、後妻Bにその旨の遺言書を書いてもらう必要があります。しかし、それは後妻Bの意思次第ですので、後妻Bの気持ちが変われば、Xの知らない間やXの死後に遺言書を書き直されてしまうリスクがあり、甲が資産を承継できるという保証はできません。
また、Xの遺言において、甲の遺留分に配慮し、遺留分以上の遺産を甲に相続させることで、甲から後妻Bへの遺留分減殺請求や後妻Bと甲との間の遺産争いを防ぎ、円満に確定した相続を早期に実現することができます。
なお、信頼できる親戚がいない場合には、プロの受託者に預ける商事信託を選択肢に入れることも必要でしょう。

事例3~子供のいない夫婦のケース~

~事例~
長男であるXは、地主として先祖代々守りぬいてきた不動産を所有しており、その不動産収入が主たる収入です。妻Yとの間に子供はおらず、Xの法定相続人は、妻YとXの弟Zとなります。
Xは、自分が死んだら妻Yには何不自由させたくないので、遺産はすべて譲りたいのですが、次に妻Yが死亡すれば、先祖よりX家が守り抜いてきた不動産が妻Yの親族側に渡ることになってしまいます。Xは妻Yが死んだら、不動産はすべてX家の親族である弟Zの家族に遺したいと希望しています。

~解決策~
XとAとの間で契約による信託の設定します。
受託者を弟Zの子Aにして財産を託し、Xの生存中は受益者をX本人にし、X死亡後、受益者を妻Yにします(遺言代用信託)
妻Yの生存中は、Aが妻Yの生活費等の財産給付を担うこととします。そして、妻Yの死亡により信託が終了するように定め、信託の残余財産の帰属先をAに指定します。
こうすることで、最終的に、X家の先祖代々の不動産は、Aが無事承継することができます。

~ポイント~
X亡き後に遺される妻Yの生活は、甥Aが成年後見人と同じように財産管理等を担うことで妻の余生も安心です。
通常の相続では、最終的にAに財産を承継させるには、妻Yにその旨の遺言書を書いてもらう必要があります。しかし、それは妻Yの意思次第ですので、妻Yの気持ちが変われば、Xの知らない間やXの死後に遺言書を書き直されてしまうリスクがあり、Aが資産を承継できるという保証はありません。
このようなケースで、家族信託のスキームを使うことで、Xの希望を反映させた財産承継の道筋として、X以外の利害関係人(妻Yなど)の承諾や協力を得なくてもX単独で、最終的にX家の先祖代々の不動産を二男家族(弟Z→甥A)が無事承継することが可能となります。

遺言よりも信託を利用するメリット

これまで相続対策といえば「遺言書」を作成することでした。しかし「認知症対策」を主たる目的とし、信託契約をすることで「縁起が悪いから書きたくない」とかたくなになっている本人の気持ちも軟化するものと思われます。

遺言の場合、本人の死亡後、遺言執行費用は相続財産から払うのではなく相続人の負担となります。(相続税控除の対象にはなりません)
しかし、本人が元気なうちに信託契約を締結すると、その費用は本人自身が負担することとなり、結果的に将来の相続財産から支出することになるので、事実上の経費化が可能となります。

成年後見制度よりも信託を利用するメリット

本人が遺言をせず、何の対策も講じない場合、本人が認知症になれば成年後見を申し立てなければなりません。実質、財産の凍結状態となってしまいます。しかし本人の財産を信託財産とすることで、本人の状況に関係なく受託者によって財産が管理・運用・処分することができます。

つまり、信託を利用するメリットとは、「元気な時」、「認知症になった時」、「死んでしまった後」のすべてのステージで活用可能な財産管理方法であると言う事ができます。

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