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月別アーカイブ: 2015年1月

認知症の方が遺言書をのこすことができるか

認知症の老人が遺言をしても遺言は無効となってしまうのでしょうか。

遺言者が認知症であるからといって必ずしも遺言が無効となるものではありません。
認知症の遺言者であっても、通常の手続きによって有効な遺言をし、遺言書を
作成することはできます。

ただ遺言作成時における遺言者の認知症が相当程度重症であるにもかかわらず、
複雑な内容の遺言書を作成するのは、なるべく避けた方がいいでしょう。
また遺言者が亡くなったあと、相続で揉める可能性がある場合などには、
遺言者の状況、医師の判断等を書面、ビデオ、テープ等によりできる限り
証拠化しておくことも考えておかなくてはなりません。

遺言者が成年被後見人である場合、遺言者が遺言書を作成する時には物事を弁識する
能力を一時的に回復していることや医師2名以上の立会いが必要となります。
逆に言えば、要件さえ満たせば成年被後見人でも遺言をすることができるという
ことですが、成年被後見人である遺言者による遺言につき、その要件を厳格に解し、
遺言能力を否定した裁判例もあり、成年被後見人による遺言にはリスクがあります。

夫婦が共同で遺言書を作成できるか?

(答) できません。

夫婦どちらかに万一のことがあった場合に備えて、同一の書類を用いて
「先に死亡した者が他方に財産を相続させる」との遺言書を作成する
ことはできません。
このような共同遺言は民法975条で禁止されています。

しかし、1通の証書に妻及び夫の遺言が記載されている場合であっても、
両者が容易に切り離すことができる場合には共同遺言には当たらない
とした事例もあります。

平成27年度のスタートです

新年明けましておめでとうございます。

本年で事務所を立ち上げてから10年となります。
これも皆様のおかげと感謝申し上げます。
これからもなお一層の精進を努めて参ります。
ご指導ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

さて平成27年度を迎え、改正相続・贈与税制度がスタートしました。
最大の変更点は、相続税の基礎控除がこれまでの6割になった事でしょうか。

昨日相談を受けました。
家族構成は、夫・妻・子ども二人です。
もし夫が亡くなったとしたら、昨年までは控除額が8000万円だったものが、
今年からは4800万円となります。
不動産としてかなりの資産をお持ちなので、この改正はかなりの痛手です。
そこで贈与税の「配偶者控除」の特例を使って、夫名義の不動産を妻名義に
変更する登記を行うことにしました。
「配偶者控除」の特例とは、婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産の
贈与があった場合、基礎控除110万円のほかに2000万円までの控除が受け
れるというものです。
「贈与」を登記原因とする不動産の名義変更にはある程度の費用がかかって
しまいますが、それを補ってあまりある相続税の圧縮となります。