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カテゴリー別アーカイブ: 裁判事務

その自筆証書遺言、登記申請に使えます?

遺言書があると、相続登記手続きは楽になります。

遺言書がない場合、相続登記に必要な書類は、
故人の出生から死亡時までの戸籍と相続人全員の現在戸籍を集める必要があり、
これがなかなか面倒です。

それに対して遺言書がある場合に必要な書類は、
故人の死亡の旨の記載がある戸籍と、遺言書で指定を受けた財産を譲り受ける
相続人の戸籍です。
楽ちんですね。

さて遺言書が自筆の場合、そのままの状態で登記申請に使うことはできません。
家庭裁判所で検認手続きが必要となります。
あらかじめ定められた日時に相続人が集まり、裁判所主導のもと、相続人の面前で
遺言書が開封されます。
そして遺言書に裁判所の検認が済んだ旨の証明文が追加されます。
この証明文がついて初めて登記申請ができるようになります。

なお、裁判所での開封時、相続人全員が揃ってなくても構いませんし、
遺言書の内容が有効かどうかなどの判断はなされません。
あくまで外見上の形式的な手続きです。

関西スーパーの経営統合を巡る訴訟 日本経済新聞

関西スーパーとH2О系スーパー(イズミヤ・阪急オアシス)の統合に
関する訴訟は、身近なスーパー同士の話しなのでとても興味があります。

関西スーパーの経営統合に関する決議が、可決に必要な3分の2をわずかに
上回る66.68%の賛成で承認されました。

ところで訴訟の論点は、投票終了後に投票内容を株主の希望に応じて
「棄権」から「賛成」に変えた手続きが妥当かどうかでした。

大阪高裁が重視したのは、株主の意思を尊重した点です。
一方一審の神戸地裁は「用紙を回収箱に入れた以上、軽微かつ形式的な誤りだったとしても訂正できない」として形式を重視しました。

大阪高裁は、当該の株主が事前に賛成の議決権行使書を送付しており、総会会場で棄権とみなされる白票を誤って投票したとし、「株主の意思が投票用紙と異なっていたと明確に認められ、賛成票として扱うことは許容される」、「決議の方法は、法令に違反するとも、著しく不公正であるともいえない」としました。

この大阪高裁の決定は、総合的な観点からの柔軟な判断で、私は妥当であると思います。

期日の続行だなんて 聞いてないよ~

家賃滞納による建物明渡訴訟での出来事。

コロナの関係もあって、6月25日にようやく期日を迎えた。
申し立てからかれこれ3カ月。

期日当日、相手方は来ず、即日結審ということで終了。
やれやれ、執行手続きに入るかと思っていたところ裁判所から連絡が。

「本日の郵便で被告から手紙があり、風邪を引いてこれない」とのこと。
それで裁判官が期日の続行を決定。
次回期日いつにしますか?
だなんてやってられないよまったく。
そんなの裁判の引き延ばし作戦に決まってるし。

それでも裁判官の判断には逆らえないのでした。

依頼主にどうやって説明しようか・・・・
郵券の追加も求められるしなぁ

裁判官の独立性

所有権移転請求権仮登記の抹消登記手続きを求める訴訟です。
昭和の10年代に登記された仮登記で、相手方が不明であり、
公示送達により訴訟手続を進めています。

先日、第1回の口頭弁論期日があり、
時効だし、公示送達だし、今日で結審するんだろうなぁと
思いながら裁判に臨みました。
別の裁判で、公示送達だからもう結審しましょうかと
別の裁判官が言ってたことを思い出したからです。

しかし今回の裁判官は、「公示送達だから慎重にいきます」
と、原告の本人尋問をするべく、第2回の期日を入れました。

改めて裁判官の独立性を感じました。

「もう80年も前のことだし、どうせ時効なんだし、もういいやん!」
って言いたかったけど、言えなかった・・・

相続放棄手続きの管轄裁判所

相続放棄のご依頼を頂きました。

亡くなられた方の最後の住所地(住民票の住所)は南あわじ市とのこと。
管轄は最後の住所地を管轄する裁判所になるので、
神戸家庭裁判所洲本支部ということになります。

相続放棄の申立ては郵送でもできます。

尼崎から洲本まで交通費がかかってしまうので、
郵送で対応することになります。

必要書類は、
1.被相続人の住民票除票
2.被相続人と依頼者の相続関係が分かる戸籍

戸籍などは全て当事務所で取得させて頂きます。

賃貸物件がゴミ屋敷になってしまった

賃貸物件がゴミ屋敷になってしまった。
どうすればいいのか?という相談が家主さんからありました。

・家主が何度注意しても、ゴミを片付けようとしない
・隣室があまりの悪臭に耐えかね出て行った

相当ひどい状態だと思われます。

「賃借人は賃貸人に対し、賃借物件を明け渡すまで、善良な管理者の
注意をもって保管しなければならない」という善管注意義務なるものが
賃借人は課せられています。

賃借人はこの善管注意義務に違反しているのですが、違反している
からといって、直ちに家主がゴミを片付けていいわけではありません。

期限を区切ってゴミを片付けるよう内容証明郵便をもって通知し、
何もしなければ、建物明渡訴訟を申し立てることになります。

手続きには数ヶ月時間がかかってしまいます。
今から夏本番。
さらなる環境悪化が心配されます。

3か月経過後の相続放棄について

「1年前に亡くなった叔母の借金の督促状が、先週、私のところに届きました。
葬儀が終わったあとで、叔母名義の家をどうするかの話は出ましたが、借金の
ことは一切聞いていませんでした。相続放棄は3か月以内にしなければならない
とありますが、私のケースで債務を免れることはできないでしょうか」
という相談です。

「相続財産の認識が全くない場合には、3か月の熟慮期間は進行しない」
というのが裁判所の考え方です。

今回の相談の場合、叔母の債務のことを知らず、そのことに過失は無いと
思われますが、遺産である叔母名義の家がある事を知っていたので、
承認するか放棄するかの選択をすべきであった、つまり熟慮期間は経過
していると考えられます。
また、その家を相談者以外の相続人が単独取得し、相談者は何も相続
しなかったとしても、相談者がその登記手続きに協力した場合には、自己の
相続分を処分したとして単純承認となり、相続放棄できなくなるおそれがある
ので注意が必要です。

以上兵庫県行政書士会・行政ひょうご連載「法情記」岡田清人弁護士著
からの抜粋でした。

建物明渡の強制執行をしてきました

家賃を滞納していた建物の強制執行をしてきました。

水道もガスも電気も止められ、しかし目撃情報はあり、
一体どんな生活を送っているんだと 首をかしげる事件でした。

執行官と一緒に現場へ。
鍵屋さんに鍵を開けてもらいます。
いつ見ても、鍵を開けるプロの技に感動します。
ドアを開けてみると・・・中はからっぽ。
いわゆる「夜逃げ」というやつですね。

苦労した割にはあっさりと事件は終わりました。
ゴミ屋敷状態で夜逃げされるよりはましですか。

相続開始後3ヶ月経過後の相続放棄申し立て

「母が死んでから3ヶ月経っているから相続放棄できない!
私は母の借金を背負わないといけないのでしょうか?」
との相談を受けました。

依頼者の母親は今年の1月に亡くなりました。

母は依頼者の妹と分譲マンションに一緒に住んでおり、
住宅ローンを組んでおりました。

ところが依頼者は母・妹と疎遠になっており、
母の死亡時、住宅ローンが滞納されていることを知りませんでした。

母に多額の負債があることを知ったのは、5月の中ごろ。
母が死亡してから4ヶ月経過後のことでした。

相続放棄は相続開始を知ってから3ヶ月以内にしなければ
なりませんが、この3ヶ月の期間は厳格に考える必要はなく、
今回のように被相続人と疎遠で、負債があることを知ったのが
数ヵ月後である場合、負債があることを知ってから3ヶ月以内に
相続放棄を申し立てれば認められる場合があります。

相続放棄のご相談は阪神尼崎の望月司法書士事務所
電話06-6413-8714
もしくはメールmochizuki@office-wm.comまで
電話相談は9時から22時まで土日祝にかかわらず受付しております。

売掛金の督促 ② 相手からの反応

前回、売掛金を督促するため内容証明を送った内容を書きました。

今回はその第二弾。

先方から連絡が入りました。
「会って話がしたい」

実際に会って話をするのも一つの方法であるとは思いますが、
あとで言った言わないの水掛け論になるのは避けたいところ。
そこで、
「話の内容を書面にして送って下さい」
というとFAXが届きました。
論点に関係のあるもの・ないものを手書きでA4にびっしり。

話し合いで進めていくのか、裁判を起こしてしまうか、
FAXの内容を依頼主と検討して決めていきたいと思います。

債権回収のご相談は阪神尼崎の望月司法書士事務所
電話06-6413-8714
もしくはメールmochizuki@office-wm.comまで
電話相談は9時から22時まで土日祝にかかわらず受付しております。